笑う君から3
◇
学校が終わり席を立つと、彼が笑って言った。
「バイバイ!」
「………、」
僕が返事をする間もなく、あっと言う間に彼は友達の所へ行ってしまう。
完璧にタイミングを逃した僕は、後になって返事が出来なかった事を後悔した。
僕がもっとスムーズに受け答えが出来たら…そうすればたった一言、「バイバイ」って言えたのに…
「はぁ……」
駅で電車を待ちながら、上手くいかない自分を責める。
せっかく僕に「バイバイ」って言ってくれたのに…そんな事を言ってくれた人は彼が初めてだったのに…
いくら後悔しても遅いけれど、時間を戻してもう一度やり直したいと何度も考えた。
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