笑う君から2



「ここ、何て書くか教えて?」

「………っ、」



もう話すこともない…と思っていたのに、彼は授業中に話しかけてきた。

ノートを片手に「先生の話聞いてなかったんだよな」って振り返って。



「……こ、こは…えっと…」



予想外だった行動。

いきなりの事に戸惑いながらもノートを見せる。


彼は僕のノートを素早く写し、あの笑顔でまた笑った。



「ありがとう。」








とても短い出来事だったけど、僕の心臓はドキドキとうるさいくらいに高鳴っていた。

今も体が緊張感に包まれていて、もうホッと安心して良いはずなのに、寧ろ心拍数は上がっていっているように思えた。




その時は、それが何故なのか…なんて考えもしなかったな。

それ程余裕がなかったから。



でも…多分だけど、今思えばあの時は、ただ単に興奮していただけだと思う。



この時はまだ好きだから…なんて理由じゃなくて、彼の行動が僕には意外すぎたと言うか…。

とにかく僕は、人と普通に会話する事に慣れてないから…仕方がなかったんだよね。





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あきゅろす。
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