笑う君から1


僕は彼の笑顔が好き。



凄く好き。



でもその笑顔を向けられる度、上手く微笑み返せない自分に嫌気が差す。

無愛想だと。感じが悪いと思われたらどうしよう…なんて自分を責めて。



それなのに彼は、こんな僕にも笑顔をくれる。

いつもいつも。



その笑顔に勇気づけられた僕は、いつの日か彼を好きになっていた。



…でもね。

僕が彼を最初に好きなったのは、多分あの日だったんだと思う。

席替えをして僕の前に彼が座った日。



「乃木、これからよろしく!」

「…っ……う、ん。」



皆を魅了するその笑顔を、まさか自分にも向けてくれるなんて…

ビックリしたし、嬉しかった。

ただの社交辞令だって分かっていても、凄く凄く嬉しかった。





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