09
『日奈。』
振り向くとモザイクがかった扉の向こう側に夏目の気配があった。
「どうしました。」
『今すぐ出てこい。』
夏目の要求は無茶なものだった。
流石に焦った日奈は抵抗を試みる。
「わたし…まだ服を着ていないんです…。」
『後五秒で出てこないと殺す。』
「っ……、」
夏目のカウントダウンが始まった。
こうなってしまえば従うしかない。
日奈は急いでお湯につけたワンピースを広げるも張り付いた衣服を五秒で着れるはずがなく、前だけを隠して扉を開けた。
きっと十秒あっても着れなかっただろう。
「…何でしょうか。」
長い髪の毛を前に流した状態で問う。
水を含んだ髪からボタボタと大きな雫が落ちた。
「何もねぇよ。」
「ぁ……、」
夏目は無理矢理ワンピースを引っ張り、日奈を壁に押し付けた。
急いでしゃがもうとする日奈に「しゃがんだら殺すぞ」と脅し、目の前に無防備で立たせる。
身長が150もない日奈に対し夏目は180もある為、上から見下ろす形となった。
「貧弱。」
まじまじと見つめた感想がそれだった。
無駄な肉がない。
そして胸がない。
佐奈と違い幼児体系な日奈の身体に溜め息を吐いた。
「もう…良いですか、」
日奈が嫌がるのを久々に見た夏目はしゃがみ込んでヤンキー座りのような格好になった。
そして高校生にもなって殆ど生えていないアンダーヘアを見つめた。
「ここ触ったことあるかー。」
大きな手で日奈の恥部を触る。
「っ……、」
そんな所を初めて人に触られた日奈の身体はビクンと反応した。
「…ないよなぁ。あるわけねぇよなぁ。」
そう言って少し弄った後「手が汚れた」と石鹸で手を念入りに洗い出した。
「やっぱ無理だわお前。」
「……。」
「気持ちわりぃ。」
服を着てないぶん更に身体が小さく見える日奈が長い髪の毛を垂らす姿は異様だった。
見てられないと夏目は脱衣場を出て行った。
その後急いで身の回りを見れるようにし、ゆっくり開けた扉の隙間から脱衣場の外を窺った。
しかし夏目の姿はなく、もう部屋を移動したのだとホッと息を吐いた。
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