05
不思議そうな凛子の声。
そして質問を受けた那智は嫌そうな顔で日奈に視線を向けた。
凛子も同じように視線を辿ると日奈が目に入る。
「……嫌だ那智。変な子と比べないでよ、」
「フッ…あぁ、わりぃ。」
あまりにも嫌そうな凛子の態度に那智は笑ってしまった。
「あっ…佐奈ごめんね?私昔から潔癖気味で…綺麗じゃないと耐えれないと言うか…本当にごめんね。」
凛子はハッとして、本当に申し訳なさそうに謝った。
つい嫌悪感を出してしまったが、高校で初めて出来た友人の姉なのだ。
例え外見が汚かろうが姉妹である事に変わりはない。
どうして姉妹でこんなにも違うのだろうか…。
凛子は不思議に思った。
「良いの。あの子のアレは小さい頃からだから私も慣れちゃった。それに…あの子があれで落ち着くのなら、私もなるべく自由にさせてあげたいの。」
「佐奈…。」
「あれで精神が安定しているみたいだし、私さえ我慢すれば良い話だもの。だから何を言われても平気。」
佐奈は健気に笑ってみせた。
そんな様子を見た凛子や周囲の生徒は、佐奈の姉想いの優しさに小さな感動や同情心が芽生えた。
この子は自分達が支えなければいけない。
守ってあげたいと思わせる佐奈の発言に、それぞれが労いの声をかけた。
「どの口が。」
誰にも聞こえないボリュームでボソリと言ったのは虎だった。
幼なじみの一人である虎は、幼少期から芳野姉妹との接点が多かった為、二人の裏の関係性を理解している人物だった。
佐奈が隠しているつもりでも長年共に居れば流石に分かる。
特に両者の親が社会的な意味での交流をしている為、学校外での接点も多かった所為だ。
盛り上がる佐奈達から目を離し、端の方でただ座っているだけの日奈を見る。
『気味悪いな…。』
嫌な気分になり、もう一度佐奈を見る。
佐奈は可愛い。
見ているだけで癒される。
佐奈の可愛い笑顔と声に虎の頬が綻んだ。
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