01
白い部屋、白い家具、白いワンピース。
白に囲まれた少女は静かに本を読んでいた。
生活感の全くない殺風景な囲いは、まるで少女の心に開いた穴のようだ。
真っ白で何もない。
何も見えない。
白い穴。
覗いてみても先は見えず、塗り潰したような白がそこにはあった。
彼女はソッと本を閉じ、痛いはずの胸に手を当てた。
「痛くない。」
不思議と痛みを感じなかった。
痛みに慣れて、身体の感覚が鈍くなったのだろうか。
「もう痛くないんだね…よかった。」
フワリ。
少女は血色が悪くなって白く見える唇を弧に描き、安心したように微笑んだ。
その笑顔を見た者はまだこの世に誰も居ない…ー
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