18枚目
「隠しるつもりでもよ…無意識って隠せないだろ?本人は気付いてねぇんだから。」
「うん…。」
「無意識こそが一番の本心だったりしてな。考える前に身体が動いちまう。俺はアイツらのそういう所をそれなりに見てきた。」
「…た、例えば?」
「…悪い、ここまで言っといてなんだけどよ。憶測の域で他人を語るのは難しいわ。ただ…平村の事で何か感じてて嘘吐いてるかもって疑ってるんなら……」
珍しく、手島君は言葉を切って考え込んだ。
もし僕が今までのあった事を話したら手島君はどんな行動を取るんだろう。
きっと…手島君の中でもまだ見つからない答えなんだと思う。
それを分かってて僕は聞いた。
「手島君はどうするの?僕の話を聞いて…どうするの?」
「…俺がアイツらを幸せにしてやれる事は出来ねぇ。でも…平村が一人で苦しんでんだったら…アイツが心から笑えるようにしてやりてぇ、」
「………。」
「吉沢が傷つかないように…平村が悲しまないように…。」
一つ一つが重い言葉だった。
僕には何で二人が苦しんでいるのか分からない。
でも…手島君はそれを感じてる。
そこから救いたいんだと強く感じた。
「俺は今まで見て見ぬフリしてきたんだわ。もうすぐ卒業だし何とかなるってな。上辺だけでも仲良し子良しやって終われたら後は時間が解決するだろうと。」
「そんなに前から…?」
「…俺ら三人は高校からだけどな。やっぱり中学合わせた六年間で考えると何もかも特別じゃねぇか。気持ちの部分で。」
「そうだね…。」
「だから…アイツらの抱えてるもんも相当デカくなってると思う。今回の事はその特別な気持ちが爆発したんじゃねぇかな。」
時折考えながら発する言葉は手島君にとっても特別な感情の一部なんだと思う。
眉間に皺を寄せて話すその姿は端から見れば怖いかもしれない。
でも口から出る言葉は全て想いに溢れた優しさだった。
表裏一体とは正にこの事で、こんなに人の事を一生懸命考えてくれる人が居るんだと吉沢や平村君が羨ましくなった。
「手島君は優しいね。」
「…アイツらがアホなだけだろ。」
手島君らしくて少し頬が緩む。
僕も…救えるものなら救いたい。
「僕にとって手島君達はいつもキラキラ輝いて見えてたよ。楽しそうで、可笑しそうで、実際見てもそうだった。だから少し信じられないけど…分かる気がする。」
「……。」
「上辺…表がキラキラしてても、裏はあるよね、きっと。僕にも人には話せない事とかあるし…。」
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