01枚目
「金井ー!!ど?俺のエプロン姿!?」
「に、似合ってるよっ…、」
今日は文化祭…という事でうちのクラスはエプロンの着用が必須だった。
自炊してる人はともかく、殆どの生徒はエプロンを持っていなかったので、予算内で買えるだけエプロンを買った…。
訳だけど…。
「金井さん、嘘はダメだろーよ。……肩震えてるぞ。」
「だ、だって…小西くっ…フフ、」
「いやいや!金井殿が嘘を吐くはずがない!似合ってるって!」
そう言って良い女風のポーズを取る小西君が着ているエプロンは、イラスト調で描かれた女性の裸体がプリントしてあった。
「見よ!このナイスバディーを!!てっ…」
「きしょい。」
相変わらず手島君の手癖は健在だ。
ちなみにこのエプロンは小西君が持参したものらしい。
こんな奇抜なエプロンどこで見つけてきたんだ…。
「…手島にはこの良さが分かんねーのな。ガキだガキ。」
「そんな偽物に興奮してるクソガキに言われたくねぇな。そのエプロンについてる白いのは何だ?あー汚ねぇ。」
「マジで!?昨日ちゃんと洗ったって!」
バッとエプロンの隅々を確認する小西君。
えっと…小西君、それ…正気ですか?
「ちょ、手島、ついてないじゃん!」
「…嘘だっての。墓穴掘んなよアホが。」
「え……?」
僕も北原君も黙りを決め込んだ。
と言うか言葉が出ない。
「金井…まぁあれだな、聞かなかったことにしよう。」
「そうだね北原君……。」
「ぁ…あっ…!?ち、違う!してないしてない!そうじゃなくて!!一昨日お好み作ったから小麦粉かと!」
「良いんだ小西。性癖は人それぞれだし昨日洗ったんだろ?大丈夫だから…な?」
諭すように優しく語りかける北原君に小西君は「小麦粉!」と叫んだ。
僕らの勘違いか。
ごめんね。
「朝から騒がしいぞ。それに何だ小西。俺はそんな下品なエプロンを購入した覚えはない。」
「犀川聞けよ。小西のやつこのエプロンに興奮して夜な夜なおかずに…」
「だから小麦粉だって!エプロンはネタで買っただけで!」
「だからネタなんだろ?」
「言い方が悪かった!受け狙いです!ギャグです!」
何だか半泣きで弁解する小西君に同情してしまう。
だって北原君、勘違いだって分かってて言ってるだろうし…。
完璧に遊ばれてる。
可哀想に…。
「小西の性癖に興味はない。とにかく下品だ。着るなら教室の外で着てくれないか。」
「いやいやいや。これ着て回ったらアホみてぇじゃん!」
「…アホなテメェにはお似合いだな。おい、三回まわってワンって言えよ。」
「っ…金井くん!この人達怖い…!助けて!」
本格的に目を潤ませ始めた小西君を宥めて、とりあえず犀川君の指示通りに事の発端である裸体エプロンを脱がせた。
まぁ…ある意味盛り上がったし、このエプロンも役目を果たしたんじゃないかな?
「お疲れ様。」
「金井…やっぱりお前は優しいなっ…。」
何故か感動してる小西君に畳んだエプロンを渡す。
さっきのお疲れ様はエプロンに言ったんだけど…まぁいっか。
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