02
(side:吉沢)
「よし…行くか!」
「張り切りすぎ。」
「うっせ。これでも緊張してんだよ。」
もう12月も中旬となった。
後一週間程で休みに入る。
俺はその前に金井と話したくて、放課後部屋へ突撃することにした。
そう言えばあれから平村との仲は良好。
手島の言う通りにしたら、互いに何の嫌みもなく楽しく過ごせた。
ただ1つだけ心残りなのがやっぱり金井だった。
自動販売機の前で平村を抜きにしてなら話しても良いと言ったきり、話す機会がなかった。
それは手島が「平村の居る時に話しかけるのは暫く止めておいた方が良い」と言ったからで、何故なのかは教えてくれなかったが、洞察力のある手島からのアドバイスを無視も出来ず、今日まで来てしまった。
だが卒業は着実に迫ってきている。
それにクリスマスだってある。
俺はいい加減に話したいと手島に相談して、放課後に会いに行くこととなった。
「バクバクしてるわ。」
「ヘタレが。叩けば良いだけだろ。」
「ちょ、オイ!まだ心の準備がっ…!」
手島のやつ、俺の気持ちが落ち着く前にノックしやがった。
すると足音が聞こえてきてゆっくりとドアが開く。
そこには私服で驚いた顔の金井が居た。
久々に目が合って照れる。
髪の毛伸びたな…とか、私服姿も可愛いな…とか、頭ん中はそんなんでいっぱい。
にやけを抑えるのに必死で挨拶もろくに出来なかった。
「よう、今良いか?」
「え?なんで二人が?ぁ…今はちょっと…」
「無理そうなら帰るが。」
「無理ではないけど…何か用事?」
金井は困った顔でアタフタし始めた。
そらそうだよな。
いきなり俺達が来たら驚くだろう。
「金井とずっと話したかった。」
俺は今の正直な気持ちを伝えた。
ただ話したい、それだけなんだ。
「金井クン?」
「っ…平村、何でお前ここに…!」
何でお前がここに居るんだよ!
目が合った瞬間、平村も驚いたような顔をした。
つーか何で…なんで平村が…。
まさか俺と同じ考えでここに来たとか言わないよな…?
「二人こそ何で…俺抜きで金井君の所に?」
「別に良いだろ。お前こそ何で1人でお邪魔してんだよ。」
「…なんで?なんで俺には誘ってくれなかったの?」
平村は俯いてそう言った。
俺の質問は完璧に無視。
それに凄く腹が立った。
俺が聞きたいことはそんな事じゃない。
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