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(side:吉沢)
あの写真の件が許せず、大人気なく俺は平村を無視し続けていた。
手島や犀川辺りなら寛容な心で許しそうだが…俺の心はとてつもなく狭い。
しばらくは絶対許さねぇ。
そう思ってる俺は、いずれ許す日がくる事を悟っていた。
いや、だって写真一枚で縁を切るなんて普通にしたくねぇし。
ただ許すのは今じゃないってだけ。
「いい加減にしろよ。」
「……、」
ホームルーム終了後、昨日同様に帰ろうとすれば手島に呼び止められた。
正直クラスの連中に気を使わせているのは分かってはいた。
でもな、こればかりはもうちょっと意地を張ってたい。
「吉沢…気持ちが分からん事もないが少しは大人にだな…」
「お先〜。」
犀川にまで説教をされ始めた所、事の発端である平村がニコニコと笑って帰っていった。
「アイツ…、」
お前が原因なのによく笑ってられるな。
「吉沢、気持ちは察するぞ。」
「あの馬鹿…マジ馬鹿だわ…。」
俺と同じように呆れたように二人が言う。
平村のあのノー天気さはある意味奇跡だな。
いつまでも意地張ってる俺がアホみてぇじゃん。
そんな事を思っていると平村は北原に話しかけ、そして何故か金井と並んで帰っていった。
…って、はぁ!?何でだよ!
「は?は?あいつマジで何考えてんの?あいつ馬鹿なの?マジ信じらんねぇわ!」
「おい…落ち着けって。」
「落ち着いてられっかよ。いやーもう訳が分からん。」
平村の行動には理解出来ない。
俺には仲良くするな、なんて言っていた癖に自分は一緒に仲良く帰宅。
何だそれ。
「とりあえず帰って話すか。愚痴でも何でも聞いてやるよ。」
手島に諭され何とか怒りを沈める。
まだチラホラ生徒が残ってる教室で話すのはあれだと、三人で教室を出た。
「さっきは何であんなに怒ってたんだよ。」
俺の部屋まで移動した。
手島と犀川の三人で居るのは少し変な感じだが、二人共落ち着いているので今の俺には丁度良かった。
「何から話せば良いか分かんねぇけど…平村曰わく俺達は金井に警戒されてるから話し掛けない方が良いらしくて…。」
「警戒…お前達、金井に何かしたのか?」
「してねぇよ。俺には話しかけるのも目を合わせんのも止めとけって言っといて、自分はさっき一緒に帰っていっただろ?」
思い出すだけで腹が立つ。
そう言えば前に二人に勉強したとか言ってたな。
まさか…俺を金井に近付けさせない為にわざとそう言ったのか?
いや、まさか平村に限って。
「それは矛盾してるな。しかしそれを言った事を忘れている。もしくは警戒の件が勘違いだったので仲良くしている、といった所ではないだろうか。」
…まさか答え出ちゃった感じか?
犀川の意見が妙に納得のいくもので少しスッキリした。
視野が広いってスゲェな。
「平村、他には何か言ってたか?」
「他に…?」
どこかスッキリした俺とは違って、手島は真剣な面持ちをしていた。
それを不思議に思いつつ過去の記憶を辿っていった。
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