06枚目

僕は今年吉沢君と同じクラスになった。

相変わらず接点はないけど、それでも心は穏やかだった。

昔酷い事を言われた事も忘れなきゃいけないと自棄になっていた事も、今となってはどうでもいい。

ただ今は見ていられるだけで良かった。

なんとなく同じ空間に居て、なんとなく好きで。

最早麻痺しているのかもしれない。

それくらい好きだったから。

最初から彼とどうこうなりたい訳じゃなかった。

最初から見ていられるだけで良かったんだ。

だから今は流れに任せて彼を想っていようと思った。

きっとこの想いはいつの日か薄れてゆくのだから。

今だけは、と消えない彼の存在を認め続けていた。




あきゅろす。
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