21枚目

「総合二位、応援旗二位おめでと〜!はい拍手ー!」


体育祭が終わった二日後、旗制作のメンバーで打ち上げをしていた。

結果は冒頭の通り、総合二位、応援旗二位という素晴らしい結果に終わった。

何より僕達が力を入れた応援旗が大健闘の二位に選ばれた事が総合にも大きく影響したし、最高のラストとなった。


「手島のお陰だね〜!ヒララン感動!」

「…アホ、暑苦しいから離れろ。」

「えー、じゃあ吉沢にピッタンコ。」

「…オイ、余計もん押し付けんな。」

「とか言いつつザワさん嬉しい癖にぃ〜。」

「ちょ、くるっ、苦しい!!」


あれから…平村君の様子はいつも通りだった。

やはり勘違いだったのか、あの時見た平村君の冷たさの真相は分からない。

ただ勘違いであって欲しいと願っていた。


「犀川遅いな…、」

「確かにそうだね。何かあったのかな。」

「まぁ次は文化祭だもんな…。」


そう、次は二週間後に文化祭だ。

うちのクラスはかき氷機、シロップ、容器などを過去のデータを元に発注するだけで良いのであまりする事がない。

その仕事もクラス委員長である犀川君が既に終わらせてくれたので後は日にちを待つだけとなった。


「スマン、遅くなった。」


ようやく犀川君がきた。

ちなみに今回の打ち上げ場所は一番部屋が綺麗な手島君の部屋。

僕も汚い事はないけど…手島君の無駄がない整理整頓具合には勝てる自信がない。


「じゃあもう一回!総合二位、応援旗ニ位おめでと〜、お疲れ様〜!」

「お疲れ〜。」


皆で乾杯し各自話しながらお菓子やご飯を食べた。

その場は楽しくて笑っていたけど、どこかで場違いだという気持ちもあった。

吉沢君、平村君、手島君、この三人がいつも一緒なのは充分なくらい知っている。

だからこそ自分とは違う世界と言うか…僕にはない三人のキラキラした空気感には到底入れない壁が見えた。

今更あの中に入りたいとは思わないけど…自分の知らない平村君を知った時、改めて三人との距離を思い知った。


僕とあの三人では住む世界が違う。


だからもう、彼らを見つめられるだけで充分だと、諦めような決断をした。

やはり僕には明るく騒ぐ事が出来ない。

この空気感に憧れていた半面、上手く馴染めない自分が情けなくて…苦しくなった。





「僕、そろそろ帰ろうかな。」


何だかナーバスになってきた僕はそう切り出した。

これ以上ここには居たくない。

惨めなんだ。

北原君が横に居てくれても、僕だけは会話に入れない。

この場所に溶け込めない。

そう感じた瞬間からそうとしか思えなくなった。

現実を突きつけられるばかりで楽しむ余裕なんてなく、ちょくちょく振って貰える話題にも上手く返せなかった。



もう帰りたい。




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