18枚目

「ゴメン…負けたな・・。」

「大丈夫だよ。それに最下位じゃないから。」


200mの結果は…

四クラス中三位だった。

僕がバトンを受けた時は既に三位で、それでもがむしゃらに走った結果、何とか二位と並んだ状態でバトンを預けた。

しかし、他のクラスもラストばかりは一番走れる生徒を選んできている。

息の切れる接戦の中、僅か数秒差で二位を譲る結果に終わった。


「100mは一位だったし…何より僕は楽しかったよ。」

「金井…。」

「だから、お疲れ様。」


僕は笑った。

結果なんて関係ないよ。

本当に楽しかったから。

そうやってリレーのメンバーで労いの声を掛け合いながら退場して…

僕は一目散に集合場所まで走った。

クラスメートとの友情も大事だけどそんな余韻に浸っている暇はない。

正にハードスケジュール、次は二人三脚だ。


「吉沢君は…」


小さく言いながら吉沢君の姿を探す。

前競技の片付けと次の用意…そんなものは早いうちに終わってしまい、入場のアナウンスがグラウンドに流れた。


「金井君!」

「っ!?」


突然腕を掴まれてそっちを向けば平村君が居た。


「行こっか。」

「え?」

「とにかく行こ。」


掴まれた腕をそのままに…僕らは入場した。

どういうこと?


「…吉沢って身長高いじゃん?180以上はあるし。それなら北原と身長一緒の俺が適任かなぁって話になって。」

「…そうなんだ。」


僕らは歩きながら話した。

つまり、そう言う事らしい。

北原君は175pだから平村君もそうなんだろう、初めて知った。

ちなみに僕は174pなので北原君の身長を必然的に覚えていた。

今年の4月に行われた身体測定は今思い出しても忌々しい思い出だ。

たかが一センチ、されど一センチ。


「俺が相手じゃ嫌だった?」

「ぇ…そんな事ないよ?」

「……へー。」


腕が掴まれた状態のまま、指定された位置に辿り着いた。

僕らは三番目なので列の真ん中に座る。

係の人から足を繋ぐ為の布が渡された。


「平村君、あの…腕、」

「あぁ、ごめんね。」

「っ…」


一瞬。

ギュッと強く掴まれたかと思えばパッと手を離される。

何だろうと顔を見れば、いつも通りニコニコした笑みを返された。


どうしたの…?


聞こうとしたらピストルの音がグランドに響き渡った。

リレーが始まったらしい。


「繋ごうか。」

「…うん。」


僕は平村の足と自分の足を練習通りほどけないように結んだ。




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