08枚目

「ねぇねぇ、金井君も俺がアホだって思う〜?」

「え?」


突然振られてドキッとする。

完全に油断していた。


「そんな事…ないよ。いつもニコニコしてて素敵だよ。」


僕は笑って答えた。

平村君はいつも楽しそうに笑っていて、こちらまで楽しい気持ちになる。

優しくて、見た目だって格好良い。

とてもじゃないけど、僕はアホなんて思わない。

きっと皆だってノリで言ってるだけ。


「ありがと〜。」


平村君が飛び切りの笑顔を返してくれた。

その笑顔に僕も笑みが深くなる。


「小西…」


北原君が呟いた。

時々小西君の名前が出るけど…会いたいのかな?




「じゃあ吉沢の事は〜?単純だと思う?」

「へ…、」


ほのぼの笑って終わり…ではなかったらしい。

僕は一瞬考えて、でも結局は何も考えずに口を開いた。


「もし単純だとしても…そんな所も魅力的だよ?」


言い終えてから、羞恥心。

これは恥ずかしい。

僕は終始平村君を見つめていて…言い終わってから余計に吉沢君を見る事が出来なくなった。


「わぁお、」

「ふむ、天然タラシか…」

「小西…」


ちなみに上から平村君、犀川君、北原君。

…?

何でここでも小西君?

それともコニシっていう別の意味を持った単語なの?

僕には到底分かりません。


「イッテ!!!」

「照れるなマジでキモイ。」

「叩くな!!…に照れてねぇしつーか話脱線し過ぎだし、」


吉沢君が不機嫌そうに言った。

そうだ、問題は脅迫状だった。


「あぁ、じゃあ読むな。」


手島君は脅迫状なる紙を開いてそれを読み始めた。




『親愛なる犀川殿。

うらめしや。

これを預かった。』




何それ、それが僕が一番最初に思った感想だった。

文章がハチャメチャだ。


「電波?」


暫しの沈黙の後、平村君が呟いた。

…何か電波を放ってるの?

世の中分からないものだらけ。

もっと勉強しなきゃ。


「おい貸せよ……なんだ、落書きじゃねぇか…。犀川、これはどうみてもイタズラだろ。」

「イタズラなのは分かる…が、"これ"と指しているものが気になる。人質だろうか。」


吉沢君と犀川君が奇妙な顔をした。

その怪奇文の書かれた紙を平村君も覗き込む。


「あー、ホントだ。何これ、猫?あれ、うさぎ?」

「いや、生憎俺は動物を飼っていない。」

「はぁ?じゃあ何だよコレ。それにしても下手くそな絵だな。幼稚園レベルじゃねぇか。」


吉沢君の話に寄れば、そこには下手くそな絵が描かれているらしい。

しかも動物が人質?

僕は話についていくのが精一杯で、北原君に声を掛けようと横を向いた。




第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!