15枚目
「そうだけど。」
「え?」
「北原の言う馬鹿にされた奴は、俺だ。」
全員の視線が今までより強くなった。
特に北原。
小西みたいに今にも掴みかかってきそうな目の鋭さ。
「お前…、何言われたんだよ?」
手島が神妙な顔つきで聞いてくる。
相当信じられないらしい。
俺はそれに苛立って、答える気になれなかった。
「何言われたとか…別になんでも良いだろ?」
「いや、良くないって!金井がイジメられてたとか初耳だし!あの金井が人を馬鹿にするか?考えられねぇよ!」
「…お前がアイツの何知ってるわけ。この面子の中でお前だけは高等入学だから一番金井の事知らねぇだろ、」
俺は小西を睨んだ。
アイツに限ってなんて憶測、それ程当てにならないものはない。
少なくとも俺はコイツより金井の事を知ってる。
あの人を馬鹿にするような笑みを知ってる。
「はぁ…、そう言う吉沢は金井の何知ってんだ?」
「少なくとも手島よりは知ってるぜ。」
「どうだかな。確か中二でクラス一緒だったけど、金井はそんな奴じゃなかった。」
「…そうやって手島が勝手に良いイメージ抱いてるだけだ。外見しか見てない。」
中一の頃に俺と手島は仲良くなった。
金井とは中二の時に同じクラスになって、その時も手島は一緒だった。
だからって何だ。
ろくに話した事のない人間をそこまで信用するか?
「顔が良いと特だな。何したって許されるんだから。」
「吉沢ッ!そんな言い方ねぇだろ!」
再び飛びかかってきそうな小西を、北原と平村が止める。
そんな様子を見て、手島が溜め息を吐いた。
「…別にお前を責めてる訳じゃない、悪いな…。ただ、その一年で何があったのか知りたい。それにお前、昔は金井の事が…」
ガンッ!!!
俺は手島が何を言おうとしたのか察して机を蹴った。
苛々する。
俺が金井を好き?
ふざけてる。
皆昔の俺みたいに、あの綺麗な顔に騙されてるだけだ。
「劣等感じゃねぇの。」
声のした方に目を向ける。
北原が俺を睨んでいた。
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