11枚目

「金井ー、ここ教えてー、金井ー、ここも分かんなーい、金井ー、」

「お前うるせぇ、自分で考えろ。」


勉強会が始まってからというもの、小西君が僕を頼ってくれる。

人に求められる事が滅多にない僕は嬉しくなって先生の気分で教えてたんだけど…。


「金井に甘えるなアホが。」


手島君に怒られました。


「サーセン!テンション上がったもんでな!……だってあの金井だぜ…?やばくね?」

「はぁ…、」


後半はよく聞こえなかったけど小西君はかなり楽しそうだった。

反対に手島君は呆れてるみたい。

この二人…知れば知る程正反対でビックリした。

真面目そうな小西君は案外集中的が無くて、派手な手島君が真面目に勉強をしてる。

人は見た目じゃない、とは言うが正にその通りだと思った。


「あー、北原はいつもこの空気感を堪能してる訳かー!うらやまー!」

「…邪魔するなら出てけカス。」

「サーセン。」


急に叫んだ小西君へ容赦ない注意。

手島君ってただ怖い人かと思ってたけど勉強したいがために怒るだなんて…意外性があって怖さが半減した。

ちゃんと相手を知る事って大切だなぁ。

そんな事を考えてると小西君が小声で話しかけてきた。


「手島マジこぇぇー…あれ将来ハゲるな、今確信した、」

「あはは…、」


思わず苦笑い。

すると「聞こえてるぞ」と手島君。

今度こそ小西君は黙ってオマケに正座を始めた。

二人は仲が良いのか悪いのかよく分からない。

でも小西君がどことなく楽しげなのを見ると、これが二人の間では普通なのかもしれないと思った。


「ナチュラルハイならぬカネイハイか…分かるぜ小西。」

「…!だ、だよな!」

「俺も通った道だし。」

「北原…お前とはとことん合いそうだわ、今感動した。」


謎のカネイハイという単語に視線で疑問をぶつけたけど、2人とも答えてくれる気配がない。

ちょっとついていけないな…。


「カネイハイ…」

「気にすんな…良い意味での造語だから。」

「あ…ありがと、」


2人のテンションに戸惑っていると手島君がそっと教えてくれた。

うわぁ…良い人。

僕も感動した。




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