08枚目

「へぇ〜、良かったじゃん、」

「そ…かな?」


次の日、昨日の小西君達との件を北原君に話した。

純粋に嬉しかったのは本当だし、喜ばしい事なのかもしれないけど…やっぱり素直に喜べない。

だけど僕の過去を知らない北原君は、性格が大人しい僕の交友関係が広がることを喜んでくれる。

複雑…だなぁ。


「また誘われたらどーしよ…嬉しいけどね…僕小西君達って苦手なんだよね…、」

「あー確かに。あそこ騒がしいもんな。まぁでも金井なら大丈夫だろ。」

「…なんで?」

「だって金井だし。」


意味が分からない。

僕はアバウト過ぎる答えに狼狽えた。

やっぱり意味が分からない。


「北原君には僕がどう見えてるわけ?」

「んー…落ち着きがあって自分のペースがあるように見せかけて、実は人に合わせれて、なんかオーラがあって…」

「……ほー…、」


結局どう言う事ですか。


「分かってないだろ。」

「うん。」


僕の返事にやっぱりな、と返ってくる。

オマケに溜め息まで吐かれて、それでも分からなかった。

特に最後のオーラってやつ。

僕にどんなオーラがついてるっていうんだ。


「金井はな、近付きがたいって言うか…触れちゃいけないオーラがある。」

「…そうなの?」

「ん。俺も最初はそうだった。金井ってクラスでダントツに浮いてたし、良い意味で。」


それって良い意味なの?

むしろ暗くて友達が居ない可哀想な子なんじゃ…


「悪い想像してるだろ?違うんだよな、コレが。お前は目立ってるよ本当に。見た目は綺麗だし頭も良いし‥オマケに声も綺麗。覚えてるか、授業中に金井が当たった時はどんなにウルサい奴も絶対に黙る、最早暗黙の了解。」

「え…?て言うかあれって、たまたま運が悪かったんじゃなかったの…?」


確かに僕が当たる度に教室がしん…と静かになる。

その度に僕は今日もついてない…なんて落ち込んでいたのに…

北原君の話が事実なら、もうあれは嫌がらせの類だよ…次からは止めて欲しい。


「お前な…全然分かってない。」

「…分かんないよ、そんなの。」

「金井の存在感はマジでハンパねぇの?理解?」

「……ん〜、理解出来ない。」

「しろ、理解しろ。無理矢理にでも理解しろ。」


なんて無茶な要求。

あー、僕の存在感って一体なんなんだ…


「にしても小西ね…いいんじゃね?それなりに仲良くやれば。」

「そんな簡単に言わないでよ…僕は北原君とは違うんだよ?」


僕は簡単に言う北原君にうなだれた。

それなりにっていう具合が分からない。

難しいよ。




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