♯08
そうして気付けば何十年も時が経っていた。
最早初めの『お礼』とは何の関係もない行動。
ただ二人が会う事は当たり前の事となっていた。
「デェイルおはよう。」
「あぁ…、」
「よく寝てたね。あまりにも気持ちよさそうに寝るものだから、僕も眠たくなってきたよ‥。」
年月が幾ら経とうとも果たされる事のないお礼。
それを理由に天使と会い続ける。
天使に会えるだけで十分なお礼になっているのだと、デェイルは本心で思っていた。
しかし決して口には出さない。
言ってしまえば『お礼が果たせた』と天使は居なくなってしまうかもしれないから。
会う理由がなくなること、それだけは絶対に避けたかった。
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