♯07
「今日は花の蜜を使ってお菓子を作ってきました!これなら大丈夫でしょ?」
「…甘いものは嫌いだ。それに花の蜜なんて不味くて食えねぇ。」
「えっ、そうなんだ…。」
今日もダメだったか…と天使は悔しそうな表情を浮かべた。
天使が持ってくるモノはいつも綺麗で、悪魔のデェイルには似合わないものばかり。
こんな風に天使のお礼は延々と続くものの、今までお礼が達成された事は一度もなかった。
「それよりいい加減、お前の名前を教えろ。」
「‥無理…なんです。小さい頃から、悪魔には名前を教えるなと、そう言われてきたので…、」
「別に聞いた所でお前の魂は抜き取らない。それから俺の名前はデェイル、いい加減に呼べ。」
「嫌ですよ。」
「……、」
お礼を続ける辺りでも見て取れるが、天使はなかなか意地っ張りで強情な性格だった。
そんな性格がデェイルを苛つかせる訳だが、デェイル自身、天使と会うこの時間が極上の楽しみとなっていた。
明るくて穏やかで一緒に居るだけで癒される。
真逆の存在である天使にこんな感情を抱くなんて。
それは果たして天使の力なのか。
それとも別の何かなのか。
どっちにしろ、かけがえのない時間だと言う事には変わりないのだからと2人はここで会い続けた。
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