#19
「それでさぁ〜」
「………」
いつも通りのテンションで話す嘉藤。
一方の松戸は、ちゃんと聞いているのか、はたまた聞き流しているのか定かではないが、相槌のみで話を聞いていた。
その異様な光景を目の当たりにしながら加持も食事をとる。
松戸が今の状況をどう思いながらここに居るのかが不意に気になった。
「加持君、」
「っ……、どうした?」
松戸に意識を向けていた加持は、作間の声にハッとした。
自分でも驚く程考えに集中していたらしい。
「…作間?」
作間は困ったような、そして少し寂しそうな表情で加持を見つめていた。
「いや…何か、寂しいなぁ〜って思って…」
「……、」
「イッチー君の事が気になるのは分かるけど、一先ずイッチー君の事は嘉藤君に任せてさ…、僕等は僕等でお話しようよ……駄目、かな…?」
加持は驚いた。
気付かぬうちに作間に寂しい思いをさせていたなんて…
大切な恋人が隣に居るのに、何処にも行かないでくれと懇願したのは自分なのに、
肝心の自分が相手を不安にさせるなんてと、自分の失態にようやく気が付いた。
「わりぃ…そうだな。寂しい思いさせて悪かった…」
加持は作間の不安を取り除こうと、作間の頭をゆっくり撫でる。
すると作間は少し恥ずかしそうにハニカんだ。
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