#17
しかし実際を目の当たりにすると、助けずにはいられなかった。
面倒だと思うものには比較的関わらないようにして、他人は他人、自分は自分と、必要以上に関わりを持とうとした事はあまりなかったのに。
面倒事を持ち込んだのは嘉藤であり、加持は無関係だと素通りする事だって出来たのに。
何故だろうか、どうか助けてやりたいと加持の良心が疼く。
ここを離れる事が出来ないのはそういう理由だった。
「慣れるなよ…こんな事に…、」
「………」
「なぁ、良かったら…、俺と友達になんねぇ…?」
「………」
「…松戸が厭じゃなかったらだけど、…また今日みたいに嘉藤と作間と4人でご飯食べたりさ、…あと、もし悩みとかあるなら俺で良ければいつでも聞くし、うん、」
加持は思いつく限り松戸に話し掛けた。
ただ、返事が返ってこない事に焦って、間がないようにひたすら話す。
どうしてなのか、松戸に優しい声を掛けたくてしょうがなかった。
「加持くん、」
いつまでも話し続ける加持に、ようやく松戸は反応した。
「…ありがと、」
必死に話していた加持に松戸は言った。
その声はやはり小さく、少し震えていた。
←→
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!