＃１３
「あのっ…それでは失礼します！」
「ほーい、イッチーまたねぇ〜！」
ご飯を食べ終わった松戸は素早く屋上を去っていった。
やはり嫌々連れてこられたのか、松戸が可哀想で仕方がない。
「イッチー君、なんか凄かったね…」
「あ…？あぁ、そうだな…」
モグモグご飯を食べながら作間はそう言った。
作間はいつも食べるのが遅いので、加持は「ゆっくり食べろよ」とその頭を撫でた。
「で？目的は？」
「だから友達にさぁ〜」
「他に目的があるんだろ？パシリにでもするつもりかよ。」
加持は苛つき気味に言った。
あぁ言うタイプの人間は恐らくイジメの対象になりやすい。
しかし加持はそういう行為を昔から嫌っていた。
だからと言って積極的に助けるかといえばそうでもなく。
始めから面倒だと思う事には関わらないように過ごしてきた。
それをこの男、嘉藤は自ら持ち込んだのだ。
一体何の目的を持って…
「俺はね、イッチーに興味持ったの。仲良くなりたいなぁって思ってる。だから……加持が思うようなパシリとかは絶対有り得ないよ。」
「…興味、ねぇ、」
「それにあの子普通に良い子だし〜、話は聞いてくれるし〜？しかもイジメは無くなって一石二鳥よ！」
「えっ…イッチー君ってイジメられてるの？」
「まぁあの見た目だからねぇ〜、凄かったっしょ？あの髪型！」
悪気はないのだろう。
キラキラ目を光らせて話す嘉藤が、真剣に松戸と交友を深めようとしている事はよく分かった。
しかし松戸が迷惑がっているのではないかという事だけが、唯一の気掛かりだった。
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