#12
「か、嘉藤君っ!!僕やっぱり帰ります!!」
「だぁめ!俺ら一緒にご飯食べる約束したっしょ?」
「でもっ……」
「ほらほら、早く四人で食べるべ〜!」
嘉藤は強引に松戸を座らせると、四人が輪になるように座った。
「四人で食べるの?」
そう口を開いたのは作間だった。
その言葉を聞いて加持もハッとする。
余りにも急ではないかと。
第一松戸の情報が何一つとして伝わっていない。
これから伝えるつもりなのかもしれないが、加持は不思議で仕方がなかった。
まず松戸の容姿。
一目見れば、きっと容姿にこだわりを持たない人間であろう事が伺えるが、限度というものがある。
これは天然なのか、わざとなのか。
そして一番気になる所は、どうして嘉藤と松戸が一緒に行動しているのか、という点。
嘉藤は喧嘩好きの不良で見た目も中身もチャラい男。
松戸に失礼ではあるが、端から見れば不良とパシリにしか見えない。
嘉藤と松戸では余りにも極端過ぎるのだ。
加持は思わず眉を寄せる。
どんな企みがあって嘉藤が松戸に絡んだのか。
聞きたいような、聞きたくないような…。
「単刀直入に聞くけど二人の接点は?」
「…え?ないよ?」
「はぁ?」
「これから作る予定だし!」
中身のない返答に、加持は頭を抱えた。
何て適当なんだと。
「どういう意味だ?」
「ん〜、まぁ、お友達になろうと思ってぇ〜!ね、イッチー!」
「う、うん…」
「おい、明らか苦笑いじゃねぇか。」
どういう経緯があったのかは知らないが、嘉藤に絡まれている松戸に内心同情する。
本当になんの気紛れか。
困ったような口調でどもりながら話す松戸を見る度に、加持は溜め息を吐きたくなった。
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