#08
『約束だよ』そう言って瞼に唇を落とした天使。
加持の右瞼には生まれた時から『天使のキス』と呼ばれる斑点があった。
この二つの事を考えると、どうしても偶然には思えない。
その事から、加持は以前以上にあらゆる事を考え始めた。
もし夢の天使が落としたキスが、今加持の瞼に残っているのだとしたら。
夢は前世の記憶だとしたら。
それでは消えた天使はどこへ行った?
もしかして、と都合の良い様に考えを進める。
消えた天使は作間じゃないのか、そう思えてきた。
天使はよく歌を歌っていた。
作間は歌う事が好きだと敢えて言ったのだとしたら、
‥やはり作間が天使なのかもしれない。
いつも綺麗に笑い、懐かしい気持ちにさせる作間。
なんとも馬鹿らしい考えではあるが、彼はきっと天使なのだと、加持は変に確信を持って結論付けた。
夜遅く、作間からメールが届く。
メールには簡潔に
『好きです。付き合って下さい』
ただそれだけが書かれていた。
加持はそれに対し軽く微笑んで…
「宜しくお願いします」
そう送り返した。
次の日から、容姿が格好いい加持と綺麗な作間の二人は学校公認のカップルとなっていた。
男同士だと言う事を気にする者はこの学園には居ない。
それを抜きにしても、二人は並んでいるだけで絵になった。
作間はいつでも綺麗に笑い、加持は「懐かしい」と作間が隣に居る心地よさを感じる。
それが二人の日常だった。
←→
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!