#10


シドはネモアを椅子に座らせた。

まだ成長途中で身長の低いネモアは足が床に届かないらしく足をブラブラさせている。


そんな様子が子供らしいとシドは思った。



「落ち着いたようだな。」

「…はい、すいませんでした、」



シドの自室へ着いた頃、ネモアの涙は引いていた。

突然持ち上げられた驚きにより一気に引いてしまったようだった。



「それで‥俺を探していたんだろ?」



今度は泣かせてしまわないように気を付けて声を掛ける。

しゃがみ込んで目線を合わせ、なるべく優しく聞こえるように心掛けた。



「あの、‥シド様。僕なんかに新しい服を下さってありがとうございます‥。あの…嬉しかったです、」

「……そうか、良かったな。」



使用人なら清潔にするのは当たり前だ。

そう言おうとして止めた。

ネモアが嬉しそうに言ったので、またキツく言うのは気が引ける。

また優しく声を掛けるとネモアは満面の笑みを浮かべ、やはり嬉しそうだった。




シドはネモアに手を伸ばす。

ソッと頭を撫でてみた。



「シドさま…?」

「……、」



"愛らしい"



と表現すれば良いのだろうか。

シドは子供という存在と接した事がなかっただけに新鮮味を感じていた。

表情がコロコロと変わり何も知らない真っ白で無邪気な子供。

不思議そうに見上げてくる瞳も未だにブラブラとさせている足も何故だか愛らしく思えた。





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あきゅろす。
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