#09
シドがとある部屋の前を通った時たまたま内側から扉が開いた。
そして中から勢い良く飛び出してきた人物とぶつかる。
「いたっ…、ビックリしたぁ‥、」
「この部屋で何をしていた。」
ぶつかった人物。
それはネモアだった。
この部屋は誰も使っていないと言うのにそこから出てきたネモアに不信感を抱く。
仕事は動物世話に変更させたのだから掃除‥という訳ではないだろう。
それなら何故少年はなんの関係もない筈の部屋に居たのか。
疑い深い疑問にシドは険しい表情をした。
「…っ、‥ご、めんなさい……あのっ…シドさま‥を、探し、て…、」
焦ったように目を泳がす姿が更に怪しく見える。
シドはネモアを上から睨み付けた。
「っ…あのっ…、お礼、言いたかったんです…。綺麗な服…シド様のおかげだってユースさんに聞いて‥、でもお部屋が分からなくて…、」
睨んでくる切れ長な目を見てしまったネモアは俯きがちに言った。
更に怪しむ様な目つきもネモアを焦らすには十分で…
最後の方には涙目になっていた。
「だ、から…おれい、をっ…、」
「……っ、わ、分かったから泣くな!」
「はいっ…、ずいまぜっ…」
とうとう泣き出してしまったネモアに今度はシドが焦り始める。
使用人と言えど相手は子供。
少しキツすぎたとシドは反省した。
「…うぅ、…ズッ…、……えっ、うわっ…!!」
ズルズルと鼻を啜るネモアをシドは無言で持ち上げた。
何時までもここに居ては誰かに見られてしまうと考えたからだ。
こんな大人気ない姿を見られる訳にはいかなかった。
「お、降ろして、下さいっ…」
そう言ってバタバタ暴れるネモアを無視し自室へ連れていった。
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