#05


その日、シドは自室で本を読んでいた。



『…ー〜〜〜、』



すると何処からか声が聞こえる。

これじゃ集中出来ないとシドは立ち上がり部屋を出た。






声、



いや、歌声が聞こえる。



歌声へ向かって廊下を少し歩くと、隣の部屋から聞こえている事が判明。

シドは扉の前で立ち止まり、中から聞こえる歌声に耳を澄ませた。



綺麗な声。

楽しげなメロディー。

そして少し切なくて…。



不思議な感覚に襲われたシドは、声の主を見ようと眉間に皺を寄せながらゆっくり扉を開いた。







「ー…あっ、あ…!!すみません‥!!ウルサかったですよね、すみませんでした!!」



部屋の中には見慣れない少年が一人。

まだ幼さの残った顔立ちをしていて随分と汚らしい格好をして居る。



── なんて不潔な少年だ‥。



少年の第一印象はそれだった。



「…お前は誰だ。何処から入った。」

「ぁ…、……はい‥。僕はここで雇われている人間です。…えっと、普通に裏口から入ってきました、…それで、掃除をしていました。」



シドは思わず眉を寄せる。

こんな幼い少年を雇って働かせるなど聞いていない。

屋敷には色々と高価な品があるだけに余計怒りを覚えずにはいられなかった。





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