#03
「シド様、ご婚約のお話ですが…」
「俺は誰とも婚約する気はない。」
「しかしシド様…!」
「何度も言わせるな、出ていけ。」
鋭く睨み付け使用人を追い出す。
こういう事は日常茶飯事だった。
「あーあ、君の使用人達も大変だね、可哀想に。君もいい加減に覚悟を決めたらどうだい?」
「五月蠅い、貴様には関係ないだろう。」
「はぁ…こんな横暴な人間がよく王なんてやってられるね、」
「黙れ。」
シドは目の前の男、ファウルに睨みを利かせた。
ファウルと言う人間はシドの幼なじみ。
彼は王の右腕と呼ばれる存在であり、シドに唯一タメ口の聞ける人物でもあった。
「そう言うお前はどうなんだ。お前こそ早く身を固めてはどうだ。」
「悪いけど僕にその気はないね。束縛されるのは御免だよ。まだまだ遊んでいたい盛りなんでね。」
「その言葉をそのままそっくりお前に返す。」
シドの言葉にファウルは「それなら仕方がないか」と苦笑いを零した。
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