#05
自分の前世はアンジェ。
その過去を知っていながら少女は生き続けた。
絶望しながらも、いつかはデェイルに会えるのだと微かな希望だけは捨てなかった。
アンジェは信じていたのだ。
いつかは会える。
きっと会えるに違いないと。
最期の瞬間まで信じていた。
「また会えなかったッ…!!何回目?今度は会える?今は何回目?もう分からない!!デェイル、デェイル!!!!」
アンジェは何度も人間として生まれ変わった。
そしてデェイルと会える事を信じ続けたが、その希望はことごとく潰れていった。
どうしても、どうしても会えないのだ。
転生の度、13になればアンジェとしての自我が蘇るというのに、想い人はどこにも居ない。
─ もう何百年経ったのだろう。
それほどまでに時は経った。
アンジェは今にも狂いそうな頭を押さえ、髪をかきむしる。
何度も…何度も何度も嘆いた。
「デェイル…逢いたいっ…あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたいっっ…あいたいッ…」
自分はアンジェだと分かっていながら、
過去の過ちを知っていながら、
デェイルへの愛を求めながら、
そうして生きる人生はどれも苦しく、生き地獄のようで…、
過去の記憶は全て曖昧だったが、アンジェとしての自我と、何度も生まれ変わった事実は13歳になると認知される仕組みらしい。
時が経てば経つ程に、アンジェは自分の罪の重さを思い知るのだった。
「ごめんなさい、神様、ごめんなさいっ、悪魔を愛してしまった僕をどうか許して下さいっ…、」
アンジェは神に、自分の犯した罪を謝り続けた。
縋るように何度も何度も。
命の尽きるその時まで。
to be continued..
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