#02
堕天使、それは悪魔と同類とさせる罪を犯した天使の名。
アンジェは自分が堕天使になるのだと信じて疑わなかった。
堕天使となり、デェイルと同じ悪魔と呼ばれ、そして幸せになるのだと信じていた。
しかしアンジェが犯した罪は深く、幸せを掴むなど無謀な未来であった。
アンジェの堕ちた魂は堕天使ではなく人間として生まれ変わった。
無論、前世の記憶は全て消え去り、時折悪魔が出てくる不思議な夢を見ながら育った。
普通の人間として。
『昨晩から考えてました。今日のお礼は歌にします。素敵でしょう?』
『…手抜きか。』
『失敬な!手抜きかどうかは僕の歌声を聞けば分かりますよ。』
『…自意識過剰。』
『フンッ、今に見てなさい。私の美声を聞けばアナタのような悪魔なんてコロッと』
『ハイハイ。』
夢に見る光景はいつも不思議なものだった。
登場人物は自分と悪魔。
悪魔はいつでも不機嫌で、冷たい態度だった。
なのに悪魔はどことなく楽しそうでどうも憎めない。
現実離れした悪魔の容姿も、決して普通だとは言い難かったが、何故か恐いとは感じなかった。
記憶がなくとも、魂が覚えているのだろうか…
生まれ変わった魂もまた悪魔の虜となり、夢を見る事が何よりの幸福だった。
少女は幼い頃から、両親に夢中になって夢の内容を話した。
両親は幼子の妄想だと深く受け止めなかったが、少女はいつでも本気だった。
自分は天使で、悪魔と会話出来るのだと。
誇らしげに語った。
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