03

生徒会の仕事が一通り終わり、要と祥平の三人で食堂へ出向くと、一際目立つ集団を発見した。

自然と見てしまった連中は要の親衛隊で、天野彼方を筆頭に珍しく松坂達も居た。


「……。」


どうやら要も気がついたらしい、自然とそちらへ足が向かう。

要について行くように僕らも親衛隊の方へ歩んでいった。


「天野。」

「会長…こんばんは。」

「何してる。」

「食事ですよ?ここは食堂ですから。」


やたらとトンチンカンな質問をする要に苦笑いが出た。

要は何かと天野を意識しているようで、彼の前ではいつもこうだった。

後でひたすらに彼の悪口を言うくせに自分から絡みにいく。

構って欲しいのか粗探しをしたいのかよく分からない。


「要…もう行こうぜ。」

「……。」


祥平が要の服を引っ張って離れようとする。

それもそうだろう。

以前理不尽な理由で暴行を働いた主犯格の居る場所で、わざわざご飯を食べたいとは思わないはずだ。


「そうだ泉川君。甘酸っぱい彼らはどうなさいました?」

「え?」


突然天野がニコニコしながら聞いてきた。

彼ら…と聞いて瞬時に城本達の事だと察する。

天野から振られる共通の話題なんてそれくらいしかなかった。


「城本達は二人で食べるそうです。」

「良いですねー。青春ですねー。」

「君は相手に困らないでしょう?」

「いえいえ。僕にはそんな時間も余裕もないので。」


笑って言う天野にカチンときた。

何?それって青柳と城本が暇人だって言いたいわけ?


「僕らも暇な訳ではありませんが?なんせ君が辞退した役職の仕事がありますので。」

「ぁっ…失礼しました。そんなつもりはなかったのですが…。」


申し訳なさそうに言われて更に腹が立った。

姫路じゃないけど、余裕があっていつでも人の上に立っている天野は正直嫌いだった。

余計な事しかしない親衛隊に入っているのも、天野嫌いを加速させる原因かもしれない。

兎にも角にも…あまり話したくない人物だった。


「要、もう行きましょう。」

「あぁ…。」


祥平と二人で要を引っ張ってその場を離れる。

要も彼が嫌いなら関わらなければ良いのに…何を考えているんだか意味不明でよく分からなかった。






「僕は夢野と食べるよ。」


少し離れると夢野を発見した。

祥平も二人きりになりたいだろうし、多少は気を使いたい。

気を取り直してニコニコ笑ってみたけど、多分二人共僕の気遣いには気付いてないんだろうなぁ。

そう思ったら何だか可笑しくなってきた。




第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!