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真心文庫
炎精組の女性陣
みちるにつれられ、絆と陽月は寮に入った。
他の人々は既に寝ているらしく必要最低限の電気しかついていない。

(どーせ夜更かしはお肌に悪いとか言う理由だろうけど・・・)

みちるは既にお休み中の成金野郎たちに対して心の中で舌打ちをした。
どうせあいつらのことだから明日にはこの二人の噂を聞きつけ
炎精組という理由だけでとがめるのだろうと思いさらに舌打ちをした

(絶対に絆ちゃんと陽月ちゃんに手は出させない・・・!!)

みちるは意気込んだが
みちるは知るわけが無かった
絆と陽月・・・いや陽月が
それよりももっと酷い扱いを受けるということを
陽月がまわりからどう思われる存在なのか
みちるは知るわけがなかった。


ーーー

「ふぅー着いたよ!ここが私達炎精組の部屋。入ろっか。」

「お邪魔しまーす・・・・」

絆は恐る恐る中を覗くようにしてから入る。
陽月は何の躊躇もなく、絆の後に続く。

「今帰りましたー!」

「おかえりなさいみちるちゃん。」

「おかえりみちる。・・・・・ッ!!」

いつもどおりの反応だった二人は絆が入ってくるまでは普通にしていたが
陽月の姿を見た瞬間、何かを思い出したように はっ となった。

「二人とも紹介するね。こちらは妃 麗さん。こちらは奏ちゃん。二人ともすごく頼りになるから安心してね。」

何もしらないみちるはいつもの調子で言った。
双方とも気まずい雰囲気なのにも関わらずだ。

「はじめまして、奏です・・・。」

「・・・・・さっきの騒動ってあなたたちが来たからなのね。」

「あ・・・・あの・・・・あたし、結心 絆です・・・。」

絆が少し不安そうな声で自己紹介する。
陽月はそんな2人の様子をもう予想済みだったような感じだ。

「ん?絆ちゃん、陽月ちゃん黙っちゃってるけどいいの・・・?」

「・・・・この子は、白夜 陽月ちゃん。多分、他の事でなら知ってるんじゃないかな・・・・」

絆は少し曇ったような笑顔で答える。
陽月はそんな絆と比べて平然としている。

「え?絆ちゃんどういうこと?」

戸惑うみちるにとはまた違う戸惑いの色を浮かべながら奏がおずおずと尋ねた。

「あの・・・もし違ったら本当に申し訳ないんですけど・・・その・・・陽月様は・・・」

陽月は奏に冷たい視線を向ける。
とても無表情に言った。

「お前らの知っている噂通りだ。それ以上の真実はない。」

「あっ、いえ!別に責めている訳ではないんです!・・・気を悪くしたのなら謝ります。申し訳ありませんでした。」

絆はそんな奏に歩み寄って、小さな声で言った。

「大丈夫ですよ。陽月ちゃんにはああ言うしかないのです。色々ありすぎたから。でも、噂のことは全部違います。あんなこと言ってるけど、全部は本当じゃないのですよ。」

奏は絆の言葉を聞くと少し微笑んだ。
悲しそうな顔でそっと言った。

「大丈夫です。私たちは噂は信じませんから。そう・・・・噂は・・・・。」

そんな奏の様子を見かねた麗はすくっと立ち上がった。
視線は陽月に向ける。最初の戸惑いの色が消えたと言えば嘘になるが
大分落ち着いている。

「奏の言うとおりアタシたちは噂には流されないわ。・・・この学園内で噂がもっとも立てられるのは
他でもないアタシ達炎精組だからね。絆、陽月、アタシたちはあなた達を喜んで受け入れるわ。
これからよろしくね!」

「私も最初失礼な態度をしてしまい申し訳ありませんでした。どうぞよろしくお願いします。」

絆も陽月に視線を向ける。
絆は目で陽月に訴えているのだ。

 信じてもいいかもしれないよ?

と。
陽月は少し皆から視線を逸らす。
そして諦めたように小さくため息をついた。

「私のことはどうでもいい。ただ、絆に何かしたとき、お前らが見るものは・・・本物だ。」

「しません。絶対に。人もポケモンも私は絶対に。」

「アタシもしないわ。信頼してくれると嬉しいんだけど・・・ね。」

みちるは頭の中を疑問符で一杯にしながら話を聞いていた。

(何の話だろう・・・?)

麗と奏は昔からこの学園に通っているので
嫌でもこの情報にあふれる学園にいれば外の噂は耳に入ってくる。
麗と奏が聞いた陽月 − 呪われ魔女 − の噂は良いものではなかった。
言っていた人物が炎精組に対しても良い印象をもっていない人々だったので
鵜呑みにはしなかったが、それでも あったことのないその魔女に対する
イメージはあまりいい方向でなかったことは事実だ。

それでも二人は実際に会ったその少女を受け入れた。

炎精組という暖かい、眩しい光の中にー。

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