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真心文庫
不思議な学園の中
陽月と絆はみちると名乗ったかわいらしい学園の生徒に寮へと案内されていた。
改めてみるとこの学園は広い。
ただの広さではなく 街が創れるのでは? というような広さだ。
この中で迷ったらまず確実に道を知らない人間には出てこれないだろう。

「広い・・・・」

絆は思わずつぶやいた。
夜中でも分かるくらいこの学園は広い。
さっきいた建物も遠くにいるのにすごく近くに見えるほど大きい。
その上にはまだ部屋があるようだ。

「ねえ、みちるちゃん、あのさっきいた建物の上には何があるの?」

「ん?ああ、あの上には統率の間、つまり生徒会室があるんだ。
さっきの会長とαさん以外にもあと3人いるんだけど・・・怖い人も居るから気をつけてね?」

「へ、へー・・・(怖い人もいるんだ・・・あたしはあのαさんっていう人と会長さんが笑って脅すようなこと言ってたときのほうが怖い気がする・・・)」

「あ、でも会長はいい人だから安心していいよ!怖いのはαさんぐらい・・・だとおもうし」

絆は 会長がいい人なのか はおいといて、やっぱりすごい人なのだと理解した。
こんなに人から信頼されてる人間なんだと。

「あ、でも会長のことが好きな女子どもや炎精・生徒会以外の金持ちな人たちは根性悪かつ最低な奴ばっかりだから気をつけてね。
私も入ってきたばかりの頃から炎精組ってことだけで目つけられたりしてるからさ。」

「そうなんだ・・・ね、その人たちは噂話を気にしたりとかするのかな?」

「絶対ね。そのせいで・・・あいつも・・・。」

「・・・そっか。」

絆は少し心配そうに後ろを歩く陽月を振り返る。
陽月はただ無表情についてきている。
特に気にしているようには見えない。
だが、きっとみな知っているのだろう。
あの噂たちを・・・。

「ところでこの大きい森はなんなのかな?さっきから森ばっかりしか見てないから気になって・・・」

「これは聖域の樹海。木の実がいっぱい生ってるすごく神秘的な森なんだ。
今は夜だからよく分からないかもしれないから明日改めて見に行こうよ。案内するからさ」

「うん!楽しみ!ありがとう」

絆は本当にうれしそうに笑顔で言う。
絆のいた町にも森があった。
その森が絆の一番好きな場所。
初めて・・・陽月と出会った場所・・・。

(きっと、この森の奥にもあるのかな?あの湖のある、朝は太陽が輝いて、夜は月がよく見える、そんな場所・・・)

絆は思わず微笑みながら考えていた。
陽月はそんな絆を無表情だが穏やかな雰囲気で見守っていた。

「あ、二人とも着いたよ!」

絆は上を見た。
さっきの建物は真っ白だったのに対しこの建物は真っ赤だ。
みちるが 寮 と言っていたけどさっきほどじゃなくても十分大きい。

「お・・・大きい・・・・これ、本当に寮なの?というより、ここは本当に学園なの?」

絆は思わずつぶやいた。
陽月は建物を見上げる。
陽月は小さく、冷たく微笑んだ。
絆は陽月の様子を見てみる。
あの微笑をしている。
絆は知っていた。
陽月がこんな微笑をするときのこと。
この状況でこの微笑ということは・・・

(陽月ちゃん・・・興味持ってるみたい・・・)

「おもしろい・・・・」

陽月は意味ありげに呟いた。
絆は少し、この先何があるのか気になった。

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