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真心文庫
新たなポケモン
必要品も揃ったので旅を再開した月光と巫女は森の中を歩いていた。
森の中は結構たくさんのポケモンたちで賑わっていた。
木から木へ飛び移るポケモンや陸上を駆け回るポケモン、空を飛ぶポケモンもいる。
その中を2人はただ黙々と進む。
ポケモンたちは2人を不思議そうに見ていた。
数時間ほど歩いて大きな湖に出た。

「きれいね。」

巫女は湖を見て言った。
月光は荷物を置く。

「ここでしばらく休憩しよう。あいつらもそろそろ腹減ってるみたいだしな。」

巫女はうなずいた。
そしてモンスターボールを取り出し、空中へ投げる。
中から赤い光とともにバシャーモが出てきた。
月光もモンスターボールを3つ取り出し、3つを空中へ投げる。
中からボーマンダ、グラエナ、そしてはじめてみる花をもったような小さなポケモンが出てきた。
ロゼリアだ。
ロゼリアは巫女に気づくと無愛想に月光に聞いた。

「誰?」

月光は半分ほどロゼリアの態度に呆れた。
そんな月光の代わりに巫女は微笑んでロゼリアに手を差し伸べた。

「私は巫女。はじめまして。」

ロゼリアは差し出された手と巫女を交互に見て、つまらなそうに目も合わせようとしなかった。

「よろしく・・・・」

ロゼリアはそう言って、月光の荷物のほうへ歩き始めた。
月光はため息をついた。
巫女は少し困ったような笑顔をしていた。
バシャーモは木に寄りかかって座っている。
ボーマンダはあくびをしている。
グラエナは忠実そうに姿勢よくお座りしている。
ロゼリアは月光の荷物の中からポケモンフードを見つけると勝手に開けて少し取って口に頬張る。
それに気づいた月光はロゼリアからポケモンフードを取り上げる。

「何するの?」

「勝手に食べるな。今やるから。」

「・・・けち。」

ロゼリアはそっぽを向いて膨らんでいる。
月光は4つの皿に同じ量のポケモンフードをのせてロゼリア、グラエナ、ボーマンダに1皿ずつ渡した。
そしてもう1つの皿を巫女に渡した。

「あいつにやれ。ポケモン用の食べ物だ。」

巫女は皿を受け取った。

「ありがとう。」

巫女は笑顔でお礼を言う。
月光は照れてすぐに自分の荷物のある場所へ戻った。
巫女はバシャーモの寄りかかって座っている木まで歩み寄り、バシャーモにポケモンフードののった皿を渡した。

「はい。」

バシャーモはそれを受け取った。
そしてそれを1粒ずつ口に入れる。
巫女はその様子をずっと見ていた。
その視線に気づいたバシャーモは食べるのをやめた。

「何だ?」

「ううん。ただ、バシャーモの顔、前より優しくなったような気がしたから。」

バシャーモはそれを聞いて、顔を少し赤くしてそっぽを向いた。

「そうか?」

「ええ。前は全てを拒むような誰も近づけさせないような感じだったから、何があっても戦えるって顔だったわ。でも、今はとても穏やかに見える。今度はちゃんとした目的があるようなそんな強い意志を感じる。」

巫女は真っ直ぐにそっぽを向いているバシャーモ見る。
バシャーモは巫女の顔を見なくても真っ直ぐ見られていることが感じられた。
ゆっくりと巫女を振り向く。
巫女は笑顔でバシャーモを見ていた。
バシャーモは少し照れて皿に乗っていたポケモンフードをまた食べ始めた。
巫女はバシャーモの隣で寝転がり、木の葉の間から空を見上げていた。
太陽が眩しく輝いている。
巫女は大地の話を思い出した。

太陽が一瞬眩しく輝き、目を瞑り、また目を開けるとそこには美しい少女がいた。

そしてもう一つの話。

また同じように太陽が眩しく輝き、目を瞑り、また目を開けると娘がいなくなっていた。

奇跡の出会いと悲しい別れの両方を生み出した太陽の輝き。
巫女はその時の大地の気持ちを考えていた。
その時、ボーマンダとロゼリアの口論の声が聞こえた。

「おい、てめっ、それ俺のだぞ!」

「うるさいなぁ・・・少しだけだよ。」

「お前いちいちムカつくやつだな、おい。踏み潰したろか、このクソガキ!」

「できるものならやってみれば?毒刺して終わりにしてあげるから。」

巫女は起き上がり、バシャーモとともに口論をしているボーマンダとロゼリア、それをまたか、とでも言うようにため息をつきながら見る月光、口論を無視して自分の食料を食べるグラエナの元へ向かった。
どうやらロゼリアがボーマンダの食料を食べ、それにボーマンダが怒ったようだ。

「止めなくていいの?」

巫女は月光に聞いた。

「ああ。いつものことだ。」

月光は少し疲れたようだった。

「こいつらに構わないほうがいい。すぐに収まる。」

グラエナがフードを食べ終わり、水を飲んでからまた同じような姿勢に戻って言った。

「無駄に関わらないほうがよさそうだな。」

バシャーモは冷静にしていた。
それでもボーマンダとロゼリアの喧嘩は収まりそうにない。
ついには食事もそこそこにバトルを始めた。
これもいつものことらしい。
いつもは結局勝敗が決まらず、そのままになってしまうらしい。
ボーマンダはロゼリアに向かって突進を何度もしている。
ロゼリアは見るからに危なそうな針を出しながら、ボーマンダの突進をかわしている。
月光やグラエナ、バシャーモは呆れながら見ていた。
巫女は心配そうに見守っている。
ボーマンダがロゼリアに向かって突進しようとした時だった。
ロゼリアの後ろにあった草の茂みから小さなポケモンが出てきた。
ロゼリアはそうと知らずにボーマンダをよける。
小さなポケモンはいきなり向かってきた大きなポケモンに驚いて動くことができない。
そのままつぶされると思った瞬間、小さなポケモンは持ち上げられ、突進してきたボーマンダにギリギリつぶされずに済んだ。
小さなポケモンは助けてくれた誰かの顔を見ようと固く閉じていた目を開けた。
そこには背中まであるきれいな黒髪を後ろに紐で結った、きれいな少女がいた。

「大丈夫?」

「え?あ、はい・・・。」

小さなポケモンは見惚れていたが声をかけられ我に返った。
小さなポケモンは地上に降ろされた。

「私は巫女。あなたはキルリアね。」

これが小さなポケモン・・・キルリアと巫女の出会いだった。
巫女はキルリアに微笑んだ。
ボーマンダとロゼリアは自分たちがもう少しで他のポケモンを巻き込みそうだったことも知らずにまだバトルをしている。
巫女たちのもとへ月光、グラエナ、バシャーモがやってきた。

「いきなりどうした?」

月光はいきなり走ってボーマンダが突進する方向へ向かった巫女に聞いた。

「この子がもう少しで巻き込まれるところだったから。」

グラエナとバシャーモが巫女に何もないことが分かると安心のため息を吐いた。
そしてグラエナは今度はボーマンダとロゼリアの元へ行き、喧嘩を止めた。
グラエナはロゼリアを押さえつけ、ボーマンダを尻尾で叩いた。
ロゼリアは暴れたがグラエナの力には適わない。
やがて暴れることにも疲れてしまい、不機嫌な顔をした。
ボーマンダはそんなロゼリアを見て、いい気味だと言って笑った。
だが、グラエナにさらに尻尾で叩かれた。
それ以降は黙って同じように不機嫌な顔になっていた。
ボーマンダは自分の皿がある場所まで戻り、食事に戻った。
グラエナはロゼリアを離した。
ロゼリアはみんなから少し離れた湖の近くに座って、すね始めた。
そんなボーマンダとロゼリアの行動に呆れて、月光はため息をついた。
巫女はその様子を苦笑いで見ていた。
そんな巫女の手をキルリアが握った。
巫女は驚いてキルリアを見る。
キルリアは微笑んだ。

「ありがとうございます。」

「いいのよ。怪我がなくてよかったわ。」

「わたし、今、探し物してます。」

「探し物?」

「星の欠片・・・・わたしの宝物です。」

「星の欠片って?」

巫女は近くにいた月光に聞く。

「星の形をした欠片だ。結構きれいな欠片で売ることもできる。」

「その星の欠片を探してるの?」

キルリアはうなずく。
そして今にも泣きそうな顔をした。

「どこかで落としてしまって・・・もう、見つからないかもしれない・・・。」

巫女はそんなキルリアを見て、同じようなことが自分にもあったことを思い出した。
大切にしていた腕輪をなくし、思いつくところは全て探したが結局見つからなかった。
巫女はキルリアの気持ちがよく分かる。
キルリアはもう見つからないと諦めていた。
巫女は意を決して、星の欠片を探してあげることにした。

「私も探すの手伝うわ。」

「え?」

キルリアは目に涙を浮かべて巫女を見上げる。

「一緒に探すから、泣かないで?」

巫女はキルリアに微笑む。
キルリアは本当にうれしそうな笑顔で涙を拭いて大きくうなずいた。

「本当に探すのか?」

「だって、私も同じようなことがあったから・・・見つからなくてとても悲しかったから。」

月光は何を言っても巫女が諦めないことを知るとため息をついた。

「俺も探す。ついでにこいつらにも探させる。」

月光は自分も探すと言って、そのあとに後ろにいたボーマンダ、グラエナ、ロゼリアを指差した。
ボーマンダとロゼリアは、はっ?、いう顔をしていた。
グラエナは静かにうなずいた。

「何で俺まで探さにゃならねぇんだ?」

「あたしも関係ない。」

ボーマンダとロゼリアは振り向いて、月光を睨んだ。
だが、月光はボーマンダとロゼリアを睨み返した。

「お前らの喧嘩で別の誰かがが巻き込まれるところだったことを忘れるな。」

ボーマンダもロゼリアも何も言い返せない。
そして仕方ない、というように立ち上がった。
キルリアはさらに顔を明るくさせた。

「バシャーモも手伝ってくれる?」

巫女はいつの間にか木に寄りかかって立っていたバシャーモを見て言った。
バシャーモは静かに目を閉じて、また目を開けた。
巫女はそれが了承したという意味だと分かった。
キルリアは希望が見えたようにとてもうれしそうな顔をしていた。

「ありがとうございます!」

早速、星の欠片を探し始めた。
みんなで夏の暑い日差しの中汗を拭いながら探す。
だが、何も見つからない。
探し始めてからもう2時間経過していた。
全員、いったん探すのをやめて木陰に入り、休むことにした。
ロゼリアだけみんなと一緒にいようとはせず、湖の中に足を入れて涼んでいた。

「見つからないな・・・」

「きっとどこかにあるわ・・・」

巫女と月光は木に寄りかかって座り、汗を拭った。

「ごめんなさい・・・わたしのせいで・・・」

キルリアは罪悪感を感じ、謝る。

「大丈夫。これでも体力はあるから。」

巫女が微笑む。
バシャーモは木に寄りかかって座り、その隣にグラエナが姿勢よくお座りしている。
ボーマンダはあくびをして大の字で寝転がっている。

「その星の欠片は誰かからもらったの?」

巫女がキルリアに聞く。

「はい・・・今はもういないけどわたしの兄からもらいました。」

「もういないの?」

「1人のトレーナーさんについて行ったから。そのときにくれたものです。」

キルリアはとても寂しそうに俯いていた。
きっとよく慕っていた兄なのだろう。
巫女は立ち上がった。

「さあ、探しましょう。まだ明るいうちに。」

キルリアは笑顔になった。
月光も立ち上がり、ボーマンダも起き上がり、またみんなで探し始めた。
ロゼリアを除いては・・・

「・・・つまんない。」

ロゼリアはそうつぶやくと湖から足を出して近くにあった岩へと歩き始めた。
そして岩に寄りかかって座ろうとした。
だが背中に何かとがったものが当たり、慌てて立ち上がった。
キラキラと輝いている。
ロゼリアはその小さな欠片を拾う。

「これ・・・・」

キルリアの探していた星の欠片だ。
ロゼリアはまだ探し続けているみんなのもとへそれを持って行こうとしたがやめた。
ロゼリアは自分の欲と復讐(?)のために黙っていることにした。
星の欠片がきれいだったのでロゼリアは欲しいと思ったのだ。
そして復讐とはさっきからの扱いに対してだ。
食べていたものを取り上げられる、ボーマンダとは喧嘩する、その罰としてこうして探し物を手伝わされるで結構イライラしているのだ。
ロゼリアは黒い笑顔を浮かべて探し回っている巫女や月光たちを見ている。

「あたしのせいじゃないからね」

ロゼリアはまた湖に足を入れて座った。
星の欠片を眺めながら少し罪悪感を感じるがあまり気にしなかった。
日が暮れて今日は湖の近くで野宿となった。

「こんな時間まで手伝ってくれてありがとうございます。」

キルリアはお辞儀した。

「結局見つかんなかったな。」

ボーマンダがあくびをしながら言う。

「小さな欠片だからな。見つからないのも仕方がない。」

グラエナが見張りをするような体勢でボーマンダの言葉に答える。

「まだ始めたばかりだ。明日には見つかるだろう。」

バシャーモが木に寄りかかって座って、目を瞑って寝ようとしている。

「何やっても無駄なんじゃない?もう他の誰かに取られてるかもしれないし。」

ロゼリアが楽しそうに笑う。

「まだ明日がある。朝になったらまた探しに行こう。」

月光がジャケットを枕にして横になっている。

「そうね。じゃあ、明日のためにもう休みましょう・・・。」

巫女がうずくまって眠った。
そのあと全員疲れていたのかすぐに眠った。
グラエナは見張りでずっと夜の満月を眺めている。
夜中の2時。
グラエナは休みなく見張りを続ける。
巫女が少し風を感じて目を覚ました。
そしてずっと満月を眺めて休みなく見張りを続けていたグラエナに気がつく。

「休まないの?」

声をかけられグラエナは巫女を振り返った。

「起きたか。」

「ちょっと眠れなくなってね。」

巫女は起き上がり、お座りをしているグラエナの隣に座った。
グラエナはまた満月を眺める。

「きれいな満月ね。」

「ああ。」

「休んできたら?あとは私が見張るから。」

「いや。俺はこのまま見張りを続ける。心配するな。」

「だったら、私もこのまま一緒にいるわ。誰かにだけ任せるのはいやだから。」

巫女もグラエナと一緒に見張りをすることにした。
そのまま沈黙が流れる。
夜中の3時。
グラエナが口を開いた。

「なぜはじめて会っただけの誰かのためにそんなに必死になれる?」

巫女はいきなりグラエナのほうから声をかけてきたので少し驚く。
だがすぐに微笑んだ。

「そんなこと私にも分からない。分からないけど・・・」

巫女は満月に手をかざす。

「救いを求めている手を簡単に見捨てることは出来ない。見て見ぬふりをしたくない。考えるより先に行動が出るの。だから自分でも分からない。なぜ誰かのために必死になるのか・・・。」

グラエナは不思議そうに巫女を見ている。
その視線に気がつきグラエナを振り返る。

「あなたもそうでしょ?」

「何がだ?」

「あなたも誰かのために必死になる。」

「俺は別に・・・」

「だって月光に命令されたってだけで見ず知らずの私を命を懸けて助けてくれた。知らない人間のために危険を冒した。それも同じでしょう?危険を伴うものを特に恩があるわけでもない誰かのためにはしないものよ。違う?」

グラエナは黙ってしまった。
確かに今までの行動は全て危険なものだった。
まずザングースのとき。
いくらグラエナのほうが強かったとはいえ、大きさは負けていたグラエナには危険な戦いだった。
グラエナも立てばバシャーモや月光と同じくらいの身長になるがザングースには負ける。
頭を使って戦うグラエナのほうが強いが力ではザングースが上だった。
そしてヘリでの戦い。
大力の操縦が乱暴で何度も振り落とされそうだった。
風も吹いていてバランスもうまく取れず、落ちたら最後確実に生きていなかっただろう。
そしてヘリの墜落時も一秒でも遅れていれば一緒に森の中へ落ちて最悪の場合死んでいた。
だがそんな危険があったにも関わらずグラエナは巫女を助けた。
おそらくグラエナは全く気づいていなかっただろう。
一番命の危険があったのが自分だったことに。
巫女はグラエナの頭を優しく撫でた。

「感謝してるわ。あなたがいなかったら私は今頃どうなっていたのか分からない。だから本当に感謝してる。ありがとう、グラエナ。」

巫女は微笑む。
グラエナは少しはにかんだ。
巫女はグラエナの頭から手を離し、グラエナに寄り添い肩(?)に頭を乗せてみる。

「お、おい・・・」

「温かいのね。月光やバシャーモも同じくらい温かかった。私が冷たすぎるだけかしら?」

「大丈夫か?」

「ええ・・・少し、このままでいさせて。今、少し、寒い・・・から・・・」

巫女は眠りについてしまった。
グラエナはどうすればいいか考えていたが自分の肩に頭を置いて安らかに寝ている巫女を見てはじめて微笑んだ。

「ゆっくり休むといい・・・巫女。」

グラエナは自分の尻尾を巫女に軽く巻きつけて満月の夜空を見上げた。
朝。
太陽が昇る少し前に巫女は目を覚ました。
自分の上にグラエナの尻尾がかるく巻きついているのに気がつき、グラエナに寄りかかって寝ていたのを思い出した。
グラエナもいつの間にか眠っていた。
だが巫女が起きたことに気がついたのかグラエナは目を覚ました。

「おはよう。」

「よく眠れたか?」

「ええ。ありがとう、温かかったわ。」

グラエナは軽く巻きつけていた尻尾をどかした。

「今日も探すのか?」

「そのつもり。でも、まずは朝ご飯からね。」

巫女とグラエナで月光たちが目覚める前に使える食材を探しに森の中へ出かけた。
しばらくして帰ってくると月光とバシャーモが起きたばかりだった。

「おはよう。よく休めた?」

巫女の言葉で完全に目を覚ました月光とバシャーモはグラエナと巫女の持っていた木の実に気づいた。

「森に行ったのか?」

「ああ。全員分の食料ならそろえた。」

グラエナが月光の質問に答える。
その後、キルリア、ボーマンダ、ロゼリアも起きだした。
ボーマンダは巫女たちの持っていた木の実に気づいてグラエナに突進した。

「メシーーー!」

グラエナは突進してきたボーマンダをよけた。
ボーマンダはそのまま木にぶつかった。

「少しは我慢できないのか?バカドラゴン」

「う・・・うるせぇよクソ犬が・・・」

ボーマンダは顔を正面からぶつけたのであまりしゃべることが出来ない。
ロゼリアはそんな様子のボーマンダを見ておもしろそうに笑っている。

「くすっ。おかしい。そんなに食べてばっかりいると・・・死ぬよ。」

ボーマンダは一瞬背中が冷やりとした。
ロゼリアは何もなかったかのように笑って、グラエナから木の実を1つもらった。

「フッ・・・黒いクソガキだぜ。」

ボーマンダもグラエナから木の実を1つもらい、一口で食べ終えた。
グラエナはため息をつき、木の実を月光にも渡した。
巫女はバシャーモとキルリアに持っていた木の実を渡した。
朝ご飯を終えるとみんなでまた探しに行こうということになった。

「そろそろ探しに行くか。」

「そうね。」

巫女と月光が立ち上がり、出かけようとしたときだった。

「探したって無駄だよ。もう見つからないんだから諦めたら?」

ロゼリアがつまんなそうに言う。

「見つからないなんて簡単に決めるな。」

「だってこれだけ探してるのに見つからないんだよ?もうないって。」

「まだ分からないだろ。」

「分かるよ。」

「どこに根拠があるんだ?」

月光とロゼリアのちょっとした口喧嘩が始まった。

「だいたい月光はおかしいよ。前は知らない人の手伝いなんかしなかったのに今になってこんなことするんだもん。」

「それは前の話だろ。今は関係ない。」

「関係なくない。月光はそんなやつじゃなかった。どこで変わったの?原因が見つからないよ。」

「俺は変わってない。俺は俺だ。」

「全然違う・・・あ、でも原因はあるかもね。月光が変わったのって、そこの人が来てからだもんね。」

ロゼリアが横目で巫女を見る。

「俺は変わってないし、あいつは関係ない。」

「どうだか・・・」

月光は疲れてため息をついた。

「とにかく星の欠片なんて見つからないよ。それにそもそも星の欠片なんて落としてもなければ持ってもないんじゃない?キルリアが食料もらえると思って嘘ついてるだけかもしれないし。」

「ロゼリア、いい加減にしろ。」

ロゼリアはそっぽを向く。

「あの・・・ごめんなさい。」

キルリアが全員に謝った。

「あの、わたしのせいでみなさんに苦労をかけてしまって・・・本当にごめんなさい。」

「こいつの言ったことなら気にするな。」

グラエナがキルリアを多分慰めている。

「いえ、正直ここまでしてもらえるとは思っていませんでした・・・探すの手伝ってくれたり、木の実を分けてくれたり・・・多分、わたしはみなさんの優しさに甘えていました。もう十分です。きっとロゼリアの言う通り、見つからないと思います。ありがとうございました。さようなら。」

キルリアは泣いて背を向けて、走り去った。

「待って」

巫女が慌ててキルリアを追った。
その後をバシャーモも追いかけた。

「諦めるのもいい選択だよ。」

ロゼリアは背伸びをした。
その時、グラエナはロゼリアからキルリアの匂いがかすかにしたのでロゼリアを押さえつけた。

「わっ!な、何すんの?!」

ロゼリアが暴れたひょうしに星の欠片が転がり落ちた。

「お前!それ星の欠片じゃねぇか!」

ボーマンダは驚いた。

「何でお前が持ってるんだ?」

月光が問う。
だがロゼリアはそっぽを向いて答えようとしない。

「ロゼリア、答えろ。」

グラエナがロゼリアを離してあげた。
ロゼリアは立ち上がり、自分についた土を払い落とした。

「そんなに知りたいなら教えてあげるよ。昨日落ちてるのをあたしが見つけたんだよ。みんなが苦労して探し回ってる間に見つけたんだよ。無意味に探し回ってる時にあたしが見つけたの」

ロゼリアが怒ったように答えた。

「何で隠すんだ?見つけたら言えばいいだろ?」

「うるさいなぁ・・・月光には分かんないよ。何であたしの食べてるもの取り上げるの?何であたしがボーマンダのせいで怒られないといけないの?何でこんなこと手伝わされないといけないのさ」

「それは全部お前が悪いからだろ。勝手に全員の食料を食う、ボーマンダと喧嘩する、誰かを巻き込みそうになった。自分が悪いからだろ。」

月光がロゼリアの図星を指す。
ロゼリアは図星を指されて何も言い返せない。
そして逆ギレした。

「うるさいうるさいうるさい!あたしは悪くない!絶対に悪くない!月光のバーカ!知らないっ!」

ロゼリアは怒ってどこかへ行ってしまった。
月光、グラエナ、ボーマンダはため息をついた。

「連れ戻すか?」

「いい。何かあればまたすぐ帰ってくるだろ。」

グラエナは去ってしまったロゼリアの後姿を見送った。
その頃、キルリア、巫女、バシャーモは森の中で追いかけあい(?)をしていた。
巫女がキルリアをバシャーモが巫女を追いかけていた。
やっとのことで巫女はキルリアを捕まえ、バシャーモは巫女に追いついた。

「ちょっと待ちなさい。」

「な・・・何ですか?」

キルリアは涙目で声も震えていた。

「そんなに簡単に諦めていいの?」

「だっ・・・だって・・・ロゼリアの言う通りだからっ・・・もうっ・・・見つからないっ・・・」

キルリアは泣き出した。
バシャーモは後ろで少しため息をついた。
巫女は泣き続けるキルリアを抱きしめた。

「ほえ・・・?」

「大丈夫。見つかるから。ちゃんとあるから。」

「でっ、でもっ、もう失くしちゃったから・・・」

巫女は自分を見上げるキルリアに微笑んだ。

「一度失くしたものを見つけたりするのは確かに難しいけど絶対に消えたりはしないのよ。」

「どういう意味ですか?」

「大切なものを失くしてしまったときそのものはなくなっても絶対に消えたりしないの。つまり、大切なものはずっと心の奥深くに刻み込まれてるってこと。だからもしもこれで見つからなくてもあなたの心の中にはちゃんとあるの。」

キルリアはそう言って微笑む巫女がとてもきれいに見えた。
とても優しく、温かく感じた。
キルリアは巫女と一緒にいたいと思った。
キルリアは理解した。
兄があの時のトレーナーに感じた思いはきっとこんな思いだったのだ。
だからあのトレーナーについていったのだ。

「諦めないで探しましょう?そしたらきっと見つかるから。」

キルリアは涙を拭いて笑顔でうなずいた。

「さあ、帰りましょう・・・って、ところでここはどこなのかしら?」

巫女は辺りを見渡す。
どうやら結構奥まで来てしまったようだ。

「帰り道が分かりませんね・・・」

「困ったわ・・・」

バシャーモがため息をついた。

「歩いて帰るのは時間がかかる。」

バシャーモは巫女を自分の背中に乗せた。

「ちょっ、バシャーモ?」

「キルリアもはやく乗れ。」

キルリアは巫女の肩につかまった。

「しっかり掴まってろ。」

バシャーモは木から木へを巫女とキルリアを乗せた状態で軽々と飛び移る。

「ごめんなさい・・・重くない?」

「大丈夫だ。」

巫女は思った以上に軽かったのだ。
キルリアはそんな2人を不思議そうに見ていた。
5分ほどして月光たちのいる場所についた。
バシャーモは巫女とキルリアを降ろした。

「どこに行ってたんだ?」

月光が巫女、キルリア、バシャーモに聞く。

「キルリア追いかけてたらちょっと奥のほうに行き過ぎてそれでバシャーモが背中に乗せてここまで連れて来てくれたの。」

「そうか。」

月光は思い出したようにポケットから星の欠片を取り出した。

「ロゼリアが隠し持っていた。これが探してたやつか?」

キルリアはとてもうれしそうな笑顔だ。

「はいっ!わたしのです!ありがとうございます!」

「よかったわね。」

「はいっ!」

キルリアは星の欠片を受け取り、持っていた紐に結んで首飾りにして、自分の首にかけた。

「ところでロゼリアはどこに行ったの?」

ロゼリアがいないことに気がつき巫女が聞く。

「怒ってどっか行っちまったよ。ま、すぐに帰ってくるだろうがな。」

ボーマンダが面倒くさそうに答える。

「怒ったって何かあったの?」

「ちょっとした口論だ。心配するな。」

巫女はそういい切る月光を信じて何もしないことにした。
そんな巫女にキルリアが近づいてきた。

「あの・・・巫女・・・ちゃん。」

巫女は呼ばれてキルリアを振り向く。

「その・・・巫女ちゃんはどんな旅をしてるの?」

「え?」

「旅をしているのでしょ?わたしはエスパーだから少しだけだけど触った人の気持ちが分かるの。」

「私は・・・その・・・えっと・・・」

巫女は本当のことを言おうかどうか迷った。
だが隠していてもすぐに分かってしまうような気がした。
巫女は意を決して話すことにした。

「私は・・・ここの世界の人間じゃないの。」

「え?」

「何?」

「何だと?」

「はあ?」

キルリア、バシャーモ、グラエナ、ボーマンダは驚いた。

「私はこの世界で言う異世界から来たの。だから私は自分の世界に帰る方法を探して旅をしているの。」

「ほえー・・・。」

キルリアは巫女を見つめる。
そしてすぐに笑顔になった。

「あのわたしも連れて行ってください。」

「え?」

「わたし、さっき巫女ちゃんからとても温かいものを感じました。その時、兄があのトレーナーさんについて行った理由が何となく分かったんです。だからわたしも巫女ちゃんについていきたい・・・」

キルリアは本気だった。

「ダメですか?」

そんなキルリアの思いに気づき、巫女は微笑んだ。

「本当にそれでいいの?」

「はい。わたしは巫女ちゃんについていく。」

巫女はウェストポーチからモンスターボールを取り出し、スイッチを押した。
キルリアはそれを見てそれが巫女の了承したというサインだと分かった。
巫女はモンスターボールを空中に投げた。
中から赤い光が出てきてキルリアを包み、ボールの中に入れる。
ボールは地面に落ちてしばらく動いていたがすぐに止まった。
キルリアは巫女のポケモンとなった。
巫女はすぐにキルリアをボールから出した。

「これからよろしくお願いしますね。」

「こちらこそ。よろしくね。」

「よかったな。ポケモンが増えて。」

「ええ。」

巫女は月光に微笑む。
日が暮れてきた。
ロゼリアが帰ってこない。

「遅いわね、ロゼリア。」

「そろそろ帰ってくると思うが・・・」

グラエナが森のほうを眺める。

「私、探してくる。」

巫女は森の中に入ろうとした。
だが月光に手首をつかまれ、止められた。

「夜に行くのは危ない。」

「大丈夫よ。バシャーモもキルリアもいるから。」

「だが・・・」

「心配しないで。すぐに連れて帰るから。はやく仲直り、しないとね。」

巫女は森の中に入っていった。
そのあとをバシャーモとキルリアが追いかけていった。
巫女は夜の森の中をロゼリアを呼びながら探していた。

「ロゼリアー!どこにいるの?」

巫女はさらに森の中に行ってみる。
バシャーモとキルリアはその後を追っていた。
ロゼリアは森の奥にあるちょうど椅子代わりになる岩に座って迷子になっていた。

「どうしよ・・・・帰り方が分かんないよ・・・・」

辺りは暗く、寒くなってきた。

「うー・・・あんなこと言わなきゃよかった・・・。みんなあたしのこと捜してないよねぇ。ひどいなぁ・・・でも、あたしも悪かったけど月光たちだって悪いじゃん。何だよ、あたしばっかり。ああ、お腹すいたなぁ。」

その時、茂みのほうから何か来るような音がした。
その音は次第に近くなる。

「誰?あ、もしかして月光?それともグラエナなの?」

ロゼリアは半分、連れ戻しにきてくれたことを期待してそうつぶやいた。
だが草の茂みから出てきたのは期待はずれの人間だった。
巫女だ。

「ロゼリア・・・ここにいたのね。無事でよかったわ。」

ロゼリアはガッカリして肩をすくめてそっぽを向いた。

「何だ・・・・・」

巫女はロゼリアに手を差し伸べる。

「さあ、帰りましょう?」

「何しにきたのさ?」

ロゼリアは不機嫌そうに聞いた。

「あなたを探しにきたの。」

「何であんたが・・・」

「心配だったからよ。もう日は暮れてて危ないから、探してたの。」

「あんたなんかに心配される筋合いないし。」

「確かにそうね。でも・・・来たからにはちゃんと一緒に帰る。あなたが帰ると言うまで、私は何を言われようと絶対に引かない。」

ロゼリアは何かひどいことでも言って追い返そうと思ったがはっきり言われてしまったのではそれは出来ない。

「・・・いやだ。あたしは絶対に帰らない。月光たちが謝りに来るまで行かない。」

「月光たちだけが悪かったわけじゃないことくらい、あなたは分かっているのでしょう?」

「う・・・・・・」

「帰って仲直りするの。私が仲直りさせるから。何言っても私はあなたが帰ると言うまで絶対に諦めない。」

巫女は譲ろうとしない。
ロゼリアも譲らない。
その時、また草の茂みがガサガサと音を立てた。
巫女は最初、バシャーモかキルリアかと思ったがすぐに違うと分かった。
キルリアにしては大きすぎる。
バシャーモにしては乱暴な動きだ。
巫女とロゼリアはすぐに逃げられるように身構えた。
その茂みから出てきたのは野性のドサイドンだ。
見るからに凶暴そうだ。

「お、いいもん発見」

ドサイドンはロゼリアを見つけて笑った。

「おれさまのシタッパにはちょうどいいな」

ロゼリアは「シタッパ」という言葉が気に食わなかったのかドサイドンを睨みつけた。

「誰があんたみたいなメタボの下につくと思ってんの?あんたみたいなメタボは近いうちに太りすぎで死ぬんだよ?」

ロゼリアは笑った。
ドサイドンは短気らしく、ロゼリアのささいな言葉に怒った。

「このチビが・・・おれはメタボじゃねぇー!」

ドサイドンはロゼリアに突進してきた。
ロゼリアはいきなり突進してきたのに対して動くことが出来なくなった。
だがドサイドンがロゼリアをつぶす前に巫女がロゼリアを抱き上げて、走り、その場から逃げた。
だがドサイドンはドスドスとすごい音を立てながら追いかけてくる。

「何で助けたのさ!」

「あのままだとつぶされてたからに決まってるでしょ」

「何でよ・・・あんたにはひどいことしか言ってないのに・・・・」

「私はどんなことを言われたってどうでもいいの。私はただあなたを無事につれて帰る・・・それだけなの」

「あたし何か助けたっていいことないよ?」

「言ってるでしょ?私はあなたをつれて帰る。絶対につれて帰る。例え、あなたが私を嫌っていたとしても私はあなたのことが好きだから」

巫女はロゼリアに微笑んだ。
ロゼリアはなぜか身体の中がポカポカと温まっていくのを感じた。
走っている間に広いところに出た。
だがそこは小さな洞窟があるだけで行き止まりだ。
あとからドサイドンが追いついた。

「へっへっへ・・・行き止まりだな。」

巫女はロゼリアを抱きかかえたまま1歩1歩後ろへ後ずさる。
ドサイドンはそれにあわせて1歩1歩近づく。
巫女は一瞬のすきをついて洞窟の中に入った。
ドサイドンは巫女とロゼリアが入っていった洞窟に突進した。
洞窟は突進された衝撃で落ちてきた岩によってふさがれ、巫女とロゼリアは洞窟に閉じ込められた。
外でドサイドンの笑い声が聞こえた。
巫女はロゼリアを離した。

「閉じ込められた・・・」

「はやく外に出ないとね。」

「うん・・・・」

ロゼリアは少し怖くなった。
それに気づいた巫女は笑顔でロゼリアを元気づけた。

「大丈夫。私が何とかするから。あなたを絶対に助けるから。」

ロゼリアはそれを聞いて少し安心して、素直にうなずいた。
巫女はまず洞窟の出入り口をふさいでいる土を掘り始めた。
岩はどうにもならないが少しでも出口に近づけるようにするためだ。
巫女はひたすら土を掘り続ける。
力のないロゼリアはただ見ていることしか出来なかった。
自分のために頑張っている巫女を見て、なぜか心が苦しくなった。
1時間が経った。
巫女は息が苦しくなってもなお掘り続ける。
ドサイドンはまだ外にいるようだ。
巫女はそろそろ酸欠になってきて掘り続けることが出来なくなった。

「大丈夫?」

「ええ・・・・ちょっと・・・・息が・・・・」

本当に苦しそうだ。
ロゼリアはいてもたってもいられなくなり、自分の花を巫女に近づけた。

「あんま効果ないと思うけど、とりあえず、花は落ち着くから。」

「・・・・・ありがとう・・・・」

巫女は弱りながらも微笑んだ。
しばらくしてまたドサイドンが暴れ始めた。
いくら待っても出てこない巫女たちにイラついたのだろう。
洞窟を突進し始める。
洞窟の中は上から土や小石が落ちてくる。
これ以上続けられれば埋もれてしまう。
だがその突進もすぐに収まり、外からドサイドンが何かに向かって叫ぶ声が聞こえた。

「おい、てめっ、何すんだ!」

「そこをどけ。」

「こん中にはおれさまの獲物が入ってんだよ。邪魔すんな!」

「獲物・・・だと?」

ドサイドンは何かに吹き飛ばされたような音ともにいなくなった。
ロゼリアは外で何があったのか気になった。
次の瞬間、洞窟の出入り口は吹き飛ばされ、岩は砕け、外に出られるようになった。
そこにいたのはバシャーモだった。

「ば、バシャーモ・・・」

ロゼリアは驚いてバシャーモを見上げる。
バシャーモは酸欠で弱っている巫女を見つけると横抱きで持ち上げた。
ロゼリアも一緒に外に出た。
さっきまで夕暮れだった空はもうすっかり暗くなり、満天の星で埋め尽くされていた。
巫女は気がつき、バシャーモを見上げる。

「バシャーモ・・・・・・?」

「気がついたか。」

「どう・・・して・・・・・」

「ドサイドンの足跡とお前の足跡を見つけて追ってきた。」

「心配したんだよ?」

いつの間にかバシャーモの肩にいたキルリアはひょっこりと顔を出して巫女を心配そうに覗き込む。

「キルリア・・・・・・」

「巫女ちゃんのこと追ってたら見失って、探してたら大きな足跡と一緒だったんだもん。でもよかった。ちゃんと無事だった。」

キルリアは微笑んだ。
巫女も微笑み返した。

「ロゼリア・・・・・は・・・・・?」

バシャーモとキルリアが後ろを振り返る。
ロゼリアはトボトボ歩いてついてきていた。

「降ろ・・・して・・・」

バシャーモは言われた通り、巫女を降ろした。
巫女はよろめきながらもロゼリアの前まで行き、その場にしゃがんだ。

「怪我はない?」

「う、うん・・・」

「そう・・・よかった。一緒に帰りましょう?」

巫女はロゼリアに手を差し伸べる。
ロゼリアはその手を取り、笑顔になった。
バシャーモは巫女をまた横抱きで持ち上げ、後ろにキルリアとロゼリアを乗せた。
そしてまた身軽に木から木へ飛び移り、月光たちのいる場所へ帰った。
帰ると月光は土だらけの巫女とロゼリアを見て驚いた。

「おい、どうした?」

ロゼリアは巫女の代わりにさっきあったことを説明した。
月光はとりあえず巫女たちが無事でよかったということでため息をついた。

「・・・・・・ごめんなさい。」

ロゼリアはそっぽを向いていたが素直に今までのことを謝った。
それがあったからか、月光たちは少し笑顔になった。

「俺も悪かったな。」

ロゼリアは少し恥ずかしそうだったがポケモンフードを見つけてまた勝手に食べ始めた。

「あっ!それ俺が食おうとしてたやつ!」

ボーマンダは怒った。
また同じようなことが続いたが今回は大目に見るということにした。
巫女はその様子を見てから微笑み、眠りに落ちた。
その日の夜は少し賑やかな夜だった。
そして新しいポケモンとの旅の始まりだった。

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