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真心文庫
おまけ物語 @
〜影音団の物語〜

あの後、霧生と大力は何とか森を抜け、組織へ戻った。
そして、ヘリをもう一機手配するためにある大倉庫へ向かったのだ。

そこには2人の同期だが17という若さで団の責任者を任されている影音団の制服である黒い服を着た少女、藍崎みちるがいた。
みちるは何機もあるヘリの点検中だったが大倉庫のゲートが開き、霧生と大力の2人が入って来たのに気づき、作業を止め、2人へ近づく。

「その怪我どうしたの?」

「ちっとばかし、失敗してな。悪いが、もう一機ヘリ用意してくれねぇか?」

「だから気をつけろって言ったでしょ?そんなに急ぐからだよ。」

「うるせぇな、仕方ねぇだろ。」

「仕方なくないし!誰がヘリの手配すると思ってんの?私よ、わ・た・し。責任者も大変なんだからね。」

「悪いな。だが急ぎだ。手配してくれ。」

「まったく・・・待ってて。」

みちるはゲートの横にある無線を使って、ヘリの手配を始めた。
やりとりが20分ほど続き、許可が出たらしく、みちるは2人の前まで戻って来た。

「許可が出たよ。でも、今度ヘリ壊したら二度と許可は出ないと思ってたほうがいいよ。」

「はあ?!何でだよ!」

大力はみちるに問う。
みちるはその質問が気に食わなかったらしく、大力を睨みつけた。

「だってこれ以上壊されたら困るからに決まってるでしょ!」

みちるはモンスターボールを取り出し、空中へ投げた。

「いでよ!オーロラ!」

中から赤い光とともにいかにもペンギンの王様と言った感じのポケモンが出て来た。
エンペルトだ。

「何?またケンカ?」

「またとはなんだ、またとは・・・」

「まあ、いいけどね。さっさと終わりにしてくれないかな。」

オーロラはため息混じりにそう言った。
大力も血が上ったらしく、ザングースを出した。

「ったく、お前いちいち自分の問題に俺使うんじゃねぇよ。」

ザングースは機嫌が悪かった。

「こいつに勝てば飯やるからさっさとしろ!」

ザングースは「飯」という言葉に釣られてやる気が出た。
だが、そんな2人の気をよそに霧生が薄っすらと笑い、2人のケンカを止めた。

「まあ、こんなところで争っても仕方ないだろ?お前ら2人、いつものケンカはいつもどっかで忘れられるようなものなんだからな。」

2人はそれを聞いて、何となく頭が冷えてきた。

「ケンカも収まったみたいだし、ぼくは戻るよ。今度はもう少しましな理由で呼んでよね、みちる。」

オーロラはモンスターボールへ戻った。

「結局飯抜きで呼ばれただけかよ・・・面倒くせぇな。」

ザングースは機嫌を損ねてモンスターボールの中へ戻った。

「そろそろ行くぞ、大力。ボスへいい報告を持っていかないとな。」

「ああ。」

「今度は壊さないで帰ってきてよね。」

みちるはヘリに乗り込み、出発しようとする霧生と大力に念押しした。
2人は分かったよ、と言ってヘリを飛ばした。
残ったみちるはヘリを見送り、つぶやいた。

「もう・・・やめようよ・・・」

それがどんな意味なのか知るのは少し先のお話で・・・。



影音団の一部の日常であった。

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