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真心文庫
危険な芽は早々に潰す
紅花の館 炎精組女子寮


深夜、炎精組の女子5人はスヤスヤと寝息を立てて眠っていた。
陽月と絆が来てから、早速いろいろなことがあったため楽しさも疲れもどっときたので
誰一人起きることなく、安らかに眠っている。

そんな中、ひとつのかげが進入した

窓を、音も無く開けた存在 ハチ は他の4人には目もくれず、一人の少女の前で立ち止まった。
ハチはその少女 藍崎みちる をしばらく見た後、脚を手で押さえつけた。
いきなり足に触れられたみちるは、思わず飛び起きた。そして目の前の人物を見る。

「誰・・・あなた」

暗くて顔はよく分からない。だが、次に聞こえた声で男だということは分かった。

「ばんわっす、あんたが藍崎の嬢ちゃんっしょ?」

「え、あ、誰・・・」

警戒心と驚きであまり言葉が出ないみちる。
それに対し、ハチはケラケラと笑っている。

「んなこと、知らないほうが幸せっすよ?おれっちが誰かなんて事はね」

「・・・その、あなた何の用で・・・」

それを聞いたハチはポンッと手を打って、思い出したように言った。

「そうっすね!じゃあ、有言実行と行きますか!」

明るく言ったハチは、両手をみちるの脚に固定させた。
抵抗してみるが、中々手は離れない。みちるは耐え切れなくなり、助けを呼ぶように

「きゃあああ!!!変態!!!」

と、叫んだ。

その声にいち早く反応し、ベットからすぐに起き出したのは陽月だ。
陽月はみちるのほうを見、男に気がつき、険しい表情になり、ベットからすぐに降りた。

「・・・誰だ」

その物音と、みちるの叫びで奏が起きた。
そして、男がここにいることに驚きの表情を浮かべる。
絆は叫び声を聞き、何が何だか分からず、混乱状態でバッと体を起こし、辺りを見渡した。
そしてみちるが男に押さえつけられているのを見て、言葉が出ないでいる。
そして麗が、もぞもぞとおきだす。寝起きが悪いらしく、この騒ぎに気がついていない。

ハチは、あえて陽月の言葉には応えず、みちるに笑いながら言った。

「藍崎の嬢ちゃんはナナに勝ったんっすよねぇ。それはこちらとしたら困るんっすよ!
ナナを助けにこられちゃあねえ、つーことで・・・


眠っててもらうっす。」


ハチはそういうと、押さえつけていた手に力を込め、みちるの足の骨を

ボキリと折った。

あまりの痛みに、みちるは声を出すことも出来ず、そのままベッドに崩れ落ちた。
そんなみちるを見て奏が叫び声を上げた。

「みちるちゃん!!!」

奏は傍においてあったボールを目にも止まらぬスピードで手におさめると、中からブラッキーのバディを出した。
絆はあまりの突然の出来事に目を見開き驚くことしか出来ず、声もあまり出せない。

「みちる・・・・ちゃ・・・ん・・・・」

陽月はハチを睨みながら、鞄の中にいるボールに叫んだ。

「スコトス!」

陽月の声を聞きつけ、ダークライのスコトスはいつの間にか陽月の隣に立っていた。
そしてハチにいつでも攻撃できるように構える。

「バディ!悪の波動!!」

「ダークホール」

攻撃を撃ち出してきたにもかかわらず、ハチはケラケラ笑い指をパチンと鳴らした。
すると、青白い壁がハチの前に出来、双方の技のダメージと効果を打ち消した。

「だめっすよ、だめっすよ。おれっちに手ぇだしても無理っすから。
じゃあ、おれっちは女に手ぇだすのはあまり気持ちいいとは思わないっすから
藍崎の嬢ちゃんには謝っといてほしいっすね!じゃあ!」

ハチは、何もなかったかのように開いたままの窓に近寄り、出て行った。

陽月は窓に駆け寄り、ハチがどこに消えたのかを捜した。
だが、もうすでにそこにハチの姿はない。
陽月は険しい表情で、窓の外を睨み、みちるのほうを見た。
さっきまで動くことも出来ないほど驚いていた絆が、はっとなり、すぐにみちるに駆け寄り、声をかけていた。

「みちるちゃん!?しっかりして!!」

「ごめんなさい、私が、私がもっとはやく気づいていれば・・・ごめんなさいっ」

その声で、ようやく頭がはっきりしてきた麗はみちるの足を見て、すぐさま駆け寄った。

「ちょっと・・・これどういうこと?!すぐに手当てしないとやばいわよ!!」

絆はその言葉を聞くと、すぐに自分の鞄を探り、応急処置ようの箱を取り出した。
そして、急いでみちるの応急処置をする。

「待っててみちるちゃん、すぐに誰か呼ぶから!奏さん、麗さん、誰か、何か出来る人呼んでください!!」

「たしか笠木様が医療関係にお詳しいと海月ちゃんからききました」

「笠木・・・、知希ね。じゃあすぐに無線で黄金の館につなげるわ!」

麗は、すぐに無線でつなげ、早口で指示を出していた。
陽月もみちるの元に歩み寄り、少し後悔しているような表情で、そっと手を握った。

「・・・すまないな・・・・」



この先から始まる出来事は、3人の手によって最悪な形で幕をあけた。

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あきゅろす。
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