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真心文庫
血に濡れた監獄
地下 監獄の間


αは例の事件が終わった後、久しぶりに監獄の間を訪れていた。
叫ぶ、彼にとっての玩具逹を玩び 主人が命じた場合は食事のための食べ物をたいらげる。

いつもと変わらぬ監獄の主の仕事


だがそこに非日常が訪れた。


---


αがお気に入りの玩具を思う存分扱う。見るにも耐えぬ憐れな姿と
聞くに耐えぬ厭らしい叫び声。
αは当たり前のようにそのみずぼらしい姿から目を剃らし、監獄の扉を己の腕力だけで堅く閉じる。

そのとき

ヒトモシ逹がざわめき始めた。いつも静かに灯を灯しているヒトモシ逹がだ。
そして徐々に灯が消え始めた。

いや、自ら消したのか。

そしてヒトモシが灯を消し始めたのと同時に、監獄の間の扉がギギギと嫌な音をさせた。

αは警戒し、鋭い眼光で入り口方向に耳をすます。
倉島がいる監獄は間の最奥かつ、いりくんだ場所に有るため、
入り口を見ることは出来ない。

αの異常にいい耳を使うが、血の音と叫び声、そして監獄の扉が抉じ開けられる音はするのだが、何故か足音は全く聞こえない。

だが叫び声と音が近づいてくることから、訪問者も徐々にαとの距離を縮めていることがわかる。

αは殺気を出しながら、マントの中から自分の手を出した。
αの爪とも思えぬ鉤爪は僅かに残ったヒトモシの光に反射し、鋭い光を纏う。
そして構え、いつでも殺れるようにする。



そのとき



「弱い 人間 全員 殺す 終了 残り 化物 倉島」



イロハが現れた。



---



イロハは手に持っていた、男の『頸』を後ろに放り投げ、血塗れの姿でαを冷たく見据える。
αもそんなイロハからただならぬ気を感じ、あえて間合いをとり
イロハを睨み付ける。

「何奴」

「ぼく 名前 イロハ お前 主人 同様 人造 存在」

イロハはそう言うと、チラリと倉島を見た。
憐れな姿で転がっている倉島。
イロハは視線をαに戻すと、大きく口笛を鳴らした。
すると、イロハの後ろから唸り声をあげる二匹のグラエナが現れた。
腹が空いている様子のグラエナ達は牙の間からヨダレを垂らす。
イロハはその二匹の背中に手を当てた。


紅き光


その光に触れた瞬間、グラエナ達に変化が起きた。

体はウィンディよりも大きくなり、体のあちらこちらが固そうな筋肉に覆われる。
そして瞳は真っ赤に。

「ぼく 能力 ポケモン 生体 強化 」

そして倉島の姿を指した


「殺せ」


獸が襲いかかった


叫び声をあげる男に


---

血、血、血、血、血、肉、血、肉、肉、肉、血、臓器、血、臓器、肉、臓器、血、臓器、肉、臓器、肉、臓器、臓器、血、血、血…

食い千切り、噛み砕き、飲み
だがいくら身体を肉の塊にしようとも 倉島の生を奪うことまでは出来ず
無理矢理人間に戻し、代償に死に至る程の痛みに襲われる。

「何故 死ぬ 無し」

イロハは監獄の中に入り、グラエナ達を下がらせると倉島に触れた。そして何かの気を感じとり、手を引っ込める。


「魔術 白夜 魔女 能力」

そして倉島の心臓に手刀を突き刺す。
引っこ抜いた際に死なないことを確認すると
殺気と狂気に満ちた声で、どこにいるかもわからぬ魔女ーミレニアムーに言った

「屑が」


次の瞬間、イロハの腹にαの腕が

貫通した。

血を吐きながらもイロハはαを見た。


「愚弄すれば殺す」


殺気以上の何かをもつα。イロハは口角から血を流しながらも静かにαを睨み付ける
だがαの殺意がおさまることを知らず、突き刺した手で、イロハの肉を引きちぎり始める。

イロハもさすがに痛そうにし、痛みの根源であるαの腕を掴み
無理矢理体内から押し出した。
しかし腕と同時に血も膓も体内から消えるため、更に痛みが。

「理解 不能 何故 化物 魔女 為 怒り」

イロハは膓を体内に押し込み、傷口を手で覆う。
すると見覚えがある黄緑…いや、濃い翠の光が傷口を包んだ。


そして傷口は綴じられた。


その瞬間、イロハはαに目にも止まらぬ速さで近づき
肩に手刀を、そのまま牢獄の壁ごと貫通させ、壁にαの身体を固定する。
αは抵抗の力を込め、肩に刺さった腕を握り潰そうとした。
だがαの今の全力でも骨を折る程度が限界だ。
腕を動かす肩が負傷しているのだから全力が出せなくて当たり前だ

「先程 回復 応急 処置 程度 全力 出す 不可能
だが ぼく お前 殺す
殺す 無理 奴 ぼく 嫌い 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す」


そしてあいた手をαの顔面へ




行く前に止まる。
イロハの頭の中に聞こえたのだ。
家族同然のミィからの声が。



「終わったからみんな帰ろうよ」






イロハはもの足りなさそうにしながらも、腕を引っこ抜く。
抜いた衝撃で血が溢れ出るα。
さすがのαも立ち上がれない。

「次 機会 必ず 殺す」


そう言い残し、重症を負ったαと叫び声をあげる倉島、そして大量の屍を残し
イロハは監獄から姿を消した。

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あきゅろす。
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