真心文庫
闇夜の中で
深夜
聖獣学園 賢人の宮殿上
真夜中の学園。今晩は月明かりの灯らない新月の為その暗さは漆黒と表現するべきか。
その漆黒の中、3つの存在が音を立てることなく宮殿の屋根に立っていた。
その中で最も小さい存在が深夜にも漆黒にも合わぬ声をあげた。
「キャハハハッ!!ねえねぇハチ兄ぃ〜♪♪みんな寝ちゃってんね!!ばっかみたいだねぇ!!」
小さな存在はハチ兄と呼んだ存在に話しかけながらキャッキャと笑い、屋根に飾られているポケモンの像の首を片手で『へし折った』。
「仕方ねぇっしょ。人間はミィとおれっちらと違って寝むんねぇとおっ死んじまうっすからねぇー」
「そっかあ!!…でもさぁハチ兄ぃ?ナナはここで幸せそうにお寝んねしてるんだよねぇ…?」
ナナ
その名を聞いた瞬間、残りの2人が反応する。
ミィと呼ばれた存在も、笑顔にも関わらず目は殺意の炎で燃えている。
「…じゃあおれっちは藍崎の嬢ちゃん。ミィはナナ、イロハはαっつー化けもんお願いすんわ」
「はあ〜い♪」
その言葉にミィは笑顔で返したが、イロハと呼ばれた存在が激しく反応した。
「何故 ぼく ナナ 殺す 化物 ミィ 担当 それ 一番 いい」
「え〜!何それぇ!!ボクだってナナがいいっ!!」
ミィはイロハの意見が気に食わなかったらしく、不満そうに頬を膨らませた。
そんなミィとイロハを宥めるようにハチが口を開く。
「ナナはイロハに任せたらおっ死んじまうっすよ。化けもんはイロハ以外だったら逆に殺されちまうっしょ。ナナは生きた状態でっておっちゃん達も言ってたからこれが一番平和的解決なんすよ。」
ハチがそう言うと納得してはいないが、その後はふたたび独り言を呟き始めた。
そんなイロハを見たあと、ミィはへし折った像の首の、目の部分を指でほじくりながらハチに言う。
「ねぇねぇハチ兄ぃ?αっていうやつ殺るのはわかるけどさあ、みちるってやつは殺っちゃダメなのぉ?殺しちゃえばいいじゃん!!」
「おっちゃん達がいらないって言ってるから仕方ないっすよ。」
それを聞いたミィは像の鼻をポキリと割りながら言った。
「そっか!おじさん達みんな『女の子の』身体には興味ないもんねぇ!!」
ミィはその言葉で元気になったらしく、首を捨て立ち上がった。
「じゃあボク行ってくるぅ〜♪ナナ連れておじさん達のトコ帰んないと!!」
「終わったら教えてほしいっすね。」
「わかった!だからイロハも呼んだら殺すの止めてねぇ?」
「ミィ 呼ぶ とき 化物 殺す 終了 済み 」
「キャハハッ!!イロハ殺る気満々だねぇ!!」
3つの存在は言いたいことを一通り言い終わると、さっきハチが言った場所に向かっていった。
全員ナナという人物への果てしない殺意をその心を持って。
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