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真心文庫
黄金色の光は突然に現れる
黄金の光は突然に現れる



陽月はしばらくしてテルミから離れた。
まだ少し顔は火照っていて、少し俯いている。

「陽月、すまない。父さんが・・・うん・・・。」

テルミも長門の父親MAXには少々ついていけないところもあるらしく、途中で言葉を失う。
だが、何とかして話を変えないと自分の顔の火照りも醒めないと考え訊きたかったことをここで尋ねた。

「陽月、君も話してはくれないか。聖獣学園を去ってから君になにがあったのか」

陽月は顔を上げ、小さく頷いた。

「最初に・・・私はもう 呪われ魔女 ではない。今はちゃんと・・・白夜陽月として生きている。」

陽月はまずそこから話し始めた。


故郷に帰り、10年ぶりに命日の日、墓参りをしたこと。

そこで少しトラブルが起き、捕まったこと。

そのとき、処分されそうになったときに 呪われ魔女 を断ち切ったこと。

少しずつ、町の人間達と打ち解けたこと。

ここに来るときに町を去るとき、「また帰って来い」と言ってもらえたこと。


陽月はそれだけ伝えた。

テルミはそれを聞き、もう一度陽月を抱きしめた。
そして耳元で優しげな声で言う。

「よかった・・・本当によかった。君の生まれた土地が君にとって『故郷』となったんだね・・・。
皆から 呪われ魔女 は 白夜陽月 という考えが消えてよかった・・・本当に。
がんばったんだね、陽月・・・。よかった・・・」

陽月は耳元で囁かれ、首を引っ込めたが、嬉しそうに微笑んでいた。

そんな二人を見守る長門の目は完全にお父さんモードだ。
そう、陽月に対しても。なんと気の早い義父さんなのだろうか。

「うん、うん」

嬉しそうに相槌を打つ長門をみたテルミは、せっかく醒めた顔を結局もとの状態に戻してしまった。

「と、父さん・・・っ!!!いい加減にしてください!!///」

「いいじゃないか、僕は構わずに続けてなさい」

「そんな視線送られて構わずにいられますかっ!!」

「あははははっ」

相変わらず陽気に笑う長門に正直呆れながら、テルミは心を落ち着けようと
長門を構わないようにしながら陽月に尋ねた。
正直、そうしても長門の視線は相変わらず温かく注がれてくるのだが。

「魔女・・・といえばミレニアム殿はどうされているんだい?気になっていたのだが・・・」

「ん・・・ミレニアムなら・・・」

陽月がそう言うと、突然どこからか声が聞こえた。

「妾と分離しておるぞ?フフフッ。」

黄金色の光がどこからか現れ、その中から話していた人物が現れた。

「み、ミレニアム殿・・・。」

「???」

驚くテルミと、なにがなんだかわからない長門。
陽月はミレニアムを見ると、少し微笑んだ。

「やはり突然に現れるのか・・・」

「妾は自由にどこへでも現れる。愉快ではないか?フフフッ。」

ミレニアムも陽月に微笑み返した。
そして少しため息をつき、呆れながら言った。

「・・・別にそなたたちが何をしようと勝手だが・・・」

ミレニアムは陽月に近づき、テルミから陽月を引き離し、陽月を抱きしめた。

「妾の前ではやめてもらおう。」

「む・・・陽月がいいのなら・・・。だが・・・」

テルミは少しだけ不機嫌そうになる。いくら相手がミレニアムといえども
陽月が自分の目の前で他の人に抱きしめられているという状況はモヤモヤするらしい。

「・・・ならば貴女も僕の前で陽月を抱きしめるのはやめてもらいたい」

「フッ。まあ、よかろう。」

ミレニアムは陽月を離した。
陽月は2人を不思議そうに見ている。

「・・・とりあえず、こういうことだ。ミレニアムは私と分離し、自由になった・・・。」

「それはよかった。」

テルミはそういうと、ミレニアムに言った。
少し楽しそうな口調だ。

「そういえばどこかの誰かが、口にこそ出さないが貴女に会いたいそうだ。
時間があれば話し相手にでもなってもらいたい。・・・彼は貴女といると僕に対する態度とは
明らかに違うことをしてくれる。ふふふっそんな彼をみていると実に楽しめる」

「実に物好きなやつであるな。フフフッ。まあ、そこも妾は気に入っているわけだが・・・
良かろう。だが、1つ訊きたいことがある。」

「僕に答えられることならば力になろう」

「あの茶を飲んだ場所だが・・・妾が使っても問題はないか?」

「客人が来ない限り使わない場所だ。気に入ったのならば是非使ってほしい。」

「ならば使わせてもらおう。陽月、そなたもたまにはそこに来るがよい。妾も退屈なのでな。
では、妾はこれにて・・・フフフッ。」



ミレニアムはそう言って笑った後、また光となってどこかへ消えてしまった。

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あきゅろす。
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