[通常モード] [URL送信]

真心文庫
Δ
二千年以上も昔の話。

ある町の海のど真ん中に建てられた、四方を煉瓦でびっしり詰まれ囲まれ
その囲いの中には2つの大きな美しい建物が建てられていた。
1つは城と思われる建物、もう1つは教会と思われる建物だ。
その囲いの中への入り口はポケモン兵によって守られている。

その姿を変わらず維持し、千年の時が過ぎたある日のこと。

その城と思われる建物の奥深く、地下のヒトモシの火だけが頼りの部屋で1人の男が研究のようなことをしていた。
だが、それは研究とは少し違っていた。
その男の何もないはずの両手から突然、右に白い光、左に黄金色の光が発せられた。
男の足元には魔方陣のような文様の円が現れ、その円の中に文字が刻まれる。
ヒトモシはその様子を見て怯えている。
しばらくすると魔方陣から強力な光が発せられる。
そして一瞬で消えた。
目を瞑って怯えていたヒトモシは目を開けた。
その男の両手にももう、その光はなかった。

だが

なくなったわけではない。
男の手を離れ、2つとも宙に浮いているのだ。
男は目を見開く。

2つの光は男の周りをどこか楽しそうに浮いていた。
男はその2つの光に触れようとする。
だが、2つの光は再び男の前で止まった。
そして、白い光が次第に小さな子供の姿を形作り、現れた。
白い光から現れた子供は少女のようだ。
少女には温かな色をした黒髪、とても綺麗な黄金色の瞳、そして周りに穢れのない白い光をまとっていた。
少女は男に微笑む。
今度は黄金色の光が次第に小さな子供の姿を形作り、現れた。
黄金色の光から現れた子供も少女だ。
この少女には美しい白銀の髪、輝くような様々な色に変わる虹の瞳、そして黄金色の綺麗な光をまとっていた。
その少女も男に微笑んだ。
男はこの美しい2人の少女たちに微笑み返す。

「・・・・成功・・・か・・・・」

男はそう呟くと2人の少女の手を握った。

「今日から・・・私の娘たちだ・・・・」

少女たちはそれを聴くと顔を見合わせ、笑った。

「「はい、お父様」」

2人で声を揃えてそう言った。

男は白い光から現れた少女に言う。

「アイリア」

今度は黄金色の光から現れた少女に言う。

「ミレニアム」

そして男はこの2人の少女を優しく抱きしめた。


・〜・〜・〜・〜・


それから数年の歳月が過ぎた―


少女たちはまだ子供で未熟な存在だった。
庭でポケモンたちと遊んでいる。

「ミレニアム!」

「アイリア!」

2人の少女は互いの名前を呼び、笑い合う。
その様子をあの時の男、この2人を創り出した父親であり、魔術師である バロン・ベアトベルン・デルタシー は微笑みながら眺めていた。
少女たちは庭を駆け回り、ポケモンたちと戯れる。
それはまるで普通の子供のようだった。
だが、この2人は人ならざる存在。
魔女だ。

2人はポケモンたちと大きな広い庭を駆け回る。
その時、ミレニアムは石につまずき、転んだ。
それにアイリアが気づき、ミレニアムの元へ駆け寄り、ミレニアムを立たせた。
ミレニアムは腕に少し怪我をしている。

「ミレニアム、大丈夫?」

「大丈夫・・・」

本当は痛いのだろうが、我慢しているようだ。
バロンは少し心配そうにミレニアムを見ている。

アイリアはそんなミレニアムを見ると自分の手をその怪我をしたミレニアムの腕に近づける。
すると温かな光がアイリアの手から発せられた。
光はゆっくりと傷口を治していく。
完全に傷口がなくなるとアイリアは微笑んだ。

「治った。」

ミレニアムはさっきまで怪我をしていた場所を見て、何もないことが分かるとアイリアに微笑んだ。

「アイリア、ありがとう!」

アイリアも微笑む。
そして再びポケモンたちを2人で追い掛け回し始めた。

バロンはその様子を見るとまた微笑んだ。
だが、少し寂しそうだ。

「・・・・・・・普通に怪我をして、普通の血を流すのに・・・・・
いずれは無意味に嫌われてしまう存在になってしまうのか・・・・・
目の色や持っている能力が変わっているというだけで・・・・・・・
特に・・・・ミレニアムは・・・・・」

アイリアもミレニアムもそんなことを知らずに楽しそうにポケモンたちと戯れる。
その様子が楽しそうで純粋で無垢で普通に見えるほどバロンは嬉しさと同時に悲しみも感じた。

ポケモンたちと戯れているとミレニアムは木の上に降りれずにいるエネコを見つけた。

「アイリア、あそこ」

ミレニアムはアイリアを呼ぶ。
アイリアもミレニアムが指差す方向を見てみた。
確かにエネコが怖がって木の上から降りられずにいた。

「本当だ。」

「助ける?」

ミレニアムはイタズラをしているような笑顔でそう訊いた。
アイリアはそれを見ると少し呆れ顔になった。

「また魔法使うの?」

「だってあんなに高い木の上にアイリアも私も登れないし、
登れてもエネコ連れて降りることは出来ないよ?」

アイリアは少し考えた。
そして小さくため息をつくと仕方なさそうに言う。

「あなたにしか出来ないことだから・・・力はほどほどにね。」

ミレニアムはそれを聞くと嬉しそうに笑った。
そして手を木の上にいるエネコにかざす。
するとミレニアムの手から黄金色の光が発せられた。
光は大きくなったり、小さくなったりと不安定だが狙いを定めるとそれを放った。
すると力が強すぎたのか、その光はエネコに当たり、エネコを宙に浮かせて下に降ろすつもりが、エネコは若干吹っ飛ばされた。
ミレニアムは少し しまった というような顔をする。
吹き飛ばされたエネコはそのまま地面に落ちるかと思われたが別の光がエネコを包み、ゆっくりと地上へ降ろした。
アイリアとミレニアムはその光を放った人物を振り返る。

「「お父様!!」」

エネコを包んだのはバロンだった。
バロンは微笑みながら2人に近づく。

「無駄に力を使うものではない。アイリアは主に治癒や未来予知、身を守るためやポケモンと心を通わす力
だが、ミレニアムは願いを叶えたり、ポケモンに力を与えたりと、自由自在の魔法。
アイリアと違い、ミレニアムの力は怒りと反応してそれがそのまま力になる。
白夜の中で1番強力な魔力を持っている。その力は使い方次第で絶望を見せることも希望を見せることも出来る。
ミレニアム、分かるか?」

ミレニアムは頷く。

「はい、お父様。」

「その力を使うにはまだ未熟だ。完全に自分のものにするまでは私のいないところで力を使うことを一切禁止する。」

ミレニアムはそれを聞くと少し不満そうな顔をしたが父であるバロンの言葉に逆らわず
素直に頷いた。

「はい・・・」

アイリアはそんなミレニアムに微笑む。
バロンも2人に微笑んだ。

そんなどこにでもあるようなささやかな日常を過ごしていた。


そしてまた数年後―


少女たちは18ほど。
子供の頃に比べて上手く力を使えるようになり、姿も立派な大人で、その容姿は他の女性とは比べられないほど美しいものだった。

そんな2人はある日の太陽が眩しく輝く時間、父・バロンに教会へ呼ばれた。
バロンは教会の祭壇にある大きなクリスタルの前にいた。
クリスタルは太陽の光を受けて様々な暖かな色に変わっている。
アイリアとミレニアムはバロンの前で横に並び、揃って頭を下げる。

「御呼びでしょうか、お父様。」

アイリアが挨拶をする。
バロンは少し寂しそうな微笑で2人を見ていた。

「ああ・・・。2人には話さなければならないことがある。」

「話さなければならないこと?」

ミレニアムは訊きかえした。
バロンは頷く。

「私たちはある一族と元は1つだったことを知っているか?」

「聞いたことがございます。」

アイリアが答える。

「その一族・・・月夜(つくよ)というのだが・・・白夜とは元は1つだった。だが、この元は1つであった一族の者が減るにつれ、いつしか2つに別れてしまった。
ついには白夜は光、月夜は闇の力というように別れてしまった。
白夜は変わらず人間に嫌われようと救いのため力を使ってきた。
だが、月夜は一族を無実の罪で滅ぼしてきた人間たちへ復讐のために力を使おうとしている。
そう遠くないうちに月夜は人間をポケモンの暴走という理由で滅ぼすであろう。千年もの間、力を使わずにいた白夜は止めることも出来ずに月夜に滅ぼされる・・・。
そこで私はお前たちを、光と無という存在をつくりだした。」

アイリアもミレニアムも黙って聞いている。

「白夜という、魔術師のベアトベルン・デルタシーという名の存在を終わらせてはならない。
私はそう思い、お前たちをつくりだした。
月夜とは数年もすれば戦うことになる。
その前にお前たちには力を自分のものにしてほしい。特にミレニアム。」

「はい。」

「お前には予想外の強力な力を与えてしまった。お前には悪いと思っている・・・。
その強力すぎる力があるということはお前は魔女として生きるしか他なくなってしまった・・・
すまないな・・・・」

「いえ・・・・」

ミレニアムは再び黙る。

「アイリア。」

「はい。」

「お前にも悪いことをした・・・すまない。」

「いいえ・・・」

アイリアも黙る。

「お前たちにはもう時間がない。その力をものにするためには今、それを使えるようにならなくてはならない。
だが、お前たちも魔女としてではなく、平穏な日々を過ごしたいはずだ。だから、今、決めなくてはならない。
魔女になるか、平穏に過ごすか・・・どちらかをな。」

アイリアとミレニアムはしばらく黙っていた。
静かな沈黙が流れる。

その時

ミレニアムが顔を上げ、はっきりと言った。

「私はお父様の望む魔女になります。」

アイリアはミレニアムを見る。
その様々な色に変わる目は真剣そのものだった。
そしてアイリアも覚悟を決めたようにその黄金色に輝く目をバロンに真っ直ぐ向け、言った。

「この力、人を救うためならば、私はどんなものにでもなりましょう。」

バロンはそんな2人を見て少し悲しそうに笑う。

「それで・・・いいのか?」

「「はい」」

バロンは目を瞑るとまた目を開けた。

「この瞬間から、力制限を解除する。明日から本格的にものに出来るように。」

2人は頷いた。

「以上だ。」

その言葉で2人は外へ出るため扉に向かった。
だが、その扉を出る前にバロンはアイリアだけ呼び止めた。

「アイリア、少し残ってくれ。ミレニアム、先に行ってなさい。」

最初2人同時に立ち止まったが、ミレニアムはそう言われて頭を下げると扉を開け、外へ出た。

「どうかされましたか?」

アイリアは再びバロンの前に来ると頭を下げた。
バロンは祭壇に置かれている大きなクリスタルに手をかざすと手から光を発した。
そしてその手を握る。
そして今度はアイリアの方へ歩み寄った。
アイリアは頭を上げる。

「これを」

バロンは握っていたものをアイリアに差し出した。
アイリアはそれを受け取る。
それは半透明無色の小さなクリスタルだった。

「これは・・・」

「このクリスタルは様々な祈りが籠められている。きっとお前を守ってくれるだろう。自由自在なミレニアムの力と違い、お前の力は人のためにしか働かない力。
何かあっても自分を守ることが出来ない。このクリスタルならきっとお前を守るだろう。そしていつかこれは未来の白夜の者に託せ。それまでずっと持っていろ。」

アイリアはバロンに微笑んだ。

「ありがとうございます、お父様。」

そう言うとまた扉に向かい、外へ出た。

バロンはその後姿を見送ると小さく呟いた。

「・・・・許してほしい・・・・我が最愛の娘たちよ・・・・。
もうじき別れがやってくる・・・・・・・。」

そしてしばらく、そこにいた。


さらにその数年後、それは幕を閉じる―


アイリアとミレニアムはもう成人し、立派な大人となった。
歳は大体20代前半となっている。
姿もさらに美しくなっている。
そしてこの2人はもう、完全に力を自分のものにしていた。

ある日、それは突然起こった。
バロンは娘2人を呼んだ。

「何か、私たちに御用でしょうか?」

アイリアは訊いた。
バロンは少し間を置いてから静かに言った。

「・・・月夜が滅びた。」

これに2人も目を見開き驚く。

「・・・町の人間達が突然襲ったらしい。月夜ならば食い止められたのだろうが、いきなりのこと。
何も出来ずに城ごと焼き払われた。月夜の生き残りは1人もいない。さきほどシンボラーに確認させた。
もうじきこちらにもやってくるだろう・・・」

バロンは話し終えるとため息をついた。
アイリアはバロンに訊く。

「では、ここへ私たちを呼んだのは、ポケモンたちを集め、戦えということですか?」

「いや・・・お前たちには戦わせない。」

2人はまた目を見開き、驚く。

「ならば・・・・なぜ私たちは力をものにするように言われたのですか」

ミレニアムは訊いた。
バロンは深く息を吐く。

「力をものにするというのは当然だ・・・でなければ、いずれは己を壊すことになる・・・。
今までは月夜を阻止するためにしてきた・・・だが、その月夜は滅び、今、人間たちと戦わなくてはならなくなった・・・
だが、私たちは絶対に手を出さない。例え、ここが襲われたとしても・・・・」

「では、どうするのですか?滅びてしまったら終わってしまうのですよ?」

アイリアは焦っている。

「・・・・・私にはすでに考えがある。」

2人は顔を見合わせた。

「・・・・・・・・この白夜を残すために・・・・私たち魔術師を残すために・・・・・・
私はお前たちを転生させる。」

「「転生?」」

声を揃えて言った。
バロンは小さく頷く。

「・・・お前たちを・・・今ここにいる白夜の者の中に入れ・・・・いつか白夜に生まれるであろう血の繋がる2人の少女たちに出会うまで・・・・・
輪廻を続けることになる・・・・・」

「ですが、白夜には魔術師しかいないはず・・・」

ミレニアムは少し考えるように言う。

「いるのだ・・・いなければそもそも『白夜』という名すら存在せん・・・・
1人だけ、人間がいる・・・・その者の中にお前たちを入れる・・・・
そして、その少女たちが現れるまで輪廻を続けるのだ」

バロンはそう言うと寂しそうな表情を見せた。

「・・・それではお父様はどうするのですか?」

アイリアがそう訊くとバロンは長いため息をつく。

「私は・・・当主として・・・魔術師として・・・父親として・・・ここに残る。」

アイリアもミレニアムも目を見開き、驚き、言葉が出ない。

「・・・・・・・今・・・・・何と・・・・・・?」

ミレニアムはやっとのことで言葉を発する。

「私はここに残る。お前たちを転生した後、白夜の者を遠くへ逃がし、私はここに残された者たちと、ポケモンたちと共に
この地で散ろう。」

「なぜ・・・・なぜ・・・・共に別の地へ逃げるということをしないのですか!!」

ミレニアムは叫んだ。

「私はこの地で終わりたい・・・。ここで魔術の幕を閉じたいのだ。それが私の残る理由であり、役目だ。
私はここで終わる。そしてお前たちを守る。それだけだ。」

それを聞くともう何も言い返せなくなった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・分かりました。」

「アイリア?!」

アイリアはそう言うと目を瞑ったまま、言った。

「・・・・・・・・・・お父様。私たちをその白夜の者の中へ・・・お願いします。」

「戯けたことを・・・!アイリア!そなたは自分が何を言っているのか分かっておるのか!」

「分かった上で話をしている!」

アイリアは瞑っていた目を開き、ミレニアムを睨んだ。
ミレニアムはその悲しみで満ちた目で睨んできたアイリアに何も言えなくなった。

「・・・・すまないな。最後までお前たちには悪いことをした・・・・。」

バロンはそう言うと目を瞑った。
それにアイリアとミレニアムも目を瞑る。

「時間がない。もう向こうはすぐ近くまできている。地下へ急げ。」

バロンの言葉と共に3人は地下へと急いだ。

地下に着くとそこには1人の使用人のような幼い少女が立っていた。

「恵那」

恵那(えな)と呼ばれた少女はバロンに頭を下げる。

「この少女は恵那。白夜恵那だ。正真正銘、白夜の血筋の者だ。
そしてこの城にいた、たった1人の人間だ。」

恵那は少し怯えたようにアイリアとミレニアムを見る。
2人は悲しそうな目で恵那を見ていた。

「この恵那にお前たちを入れる。恵那も分かった上で了承してくれた。恵那、覚悟はいいか?」

「はい。」

バロンはそれを聞くとアイリアとミレニアムを振り返った。

「始める。」

そう言うと周りにいたヒトモシたちが火をつけた。
そして4人の周りを囲む。
バロンの両手からあの時と同じように右から白い光、左から黄金色の光を発した。
そして白い光を発している手をアイリアに
黄金色の光を発している手をミレニアムに向ける。
そして小さく呟いた。

「・・・許してほしい・・・私の最愛の娘たちよ・・・。」

その呟きと共にアイリアとミレニアムはその光にそれぞれ吸い込まれた。
そしてその光たちはバロンの手を離れ、恵那の中に入る。
これで2人は無事、恵那の中へと入った。

「・・・後はお前を遠くへ逃がすだけだ・・・。」

バロンがそう言うと恵那は悲しそうにする。
そして静かに涙を流す。
そんな恵那の頭をバロンは優しく撫で、微笑んだ。

「泣くでない。私にとってここで散ることは、魔術師にとって己の故郷で散ることはいいことだ。
見ず知らずの地で散るよりも己の知る場所で散れるというのはまれなことだ。
私はこれでいい。恵那。お前は白夜を守り、繋げていくんだ。それが私からお前に与える最後の役目だ。」

「・・・・はい・・・・。」

恵那は涙を拭い、返事をした。
バロンは恵那に黒い表紙の本を渡した。

「これは私の書いた書だ。己が白夜の者だと忘れぬように、私の代わりにお前と一緒に持って行け。これがお前にする初めての贈り物だ。
・・・すまなかったな。白夜の者にさせてしまって・・・」

「いいえ・・・。私は白夜に生まれたことを誇りに思います。そして貴方様とは唯一近い者として生まれたこと・・・決して恨みなどしません。」

「・・・そうか。私もお前が最も近い繋がりを持つ人間であること・・・嬉しく思う。」

バロンは恵那に微笑んだ。

「さあ、時間だ。お前を遠くへ飛ばす。」

恵那は頷いた。
そして目を瞑る。
バロンは恵那を飛ばす前に一言言った。

「ありがとう。」

それに恵那も返した。

「ありがとうございました。」

恵那は目を開けると本を持ったまま、どこか知らない森の中にいた。
周りにはヤミカラスやホーホーなどが飛び回っている。
恵那は急いで海の方向へ向かった。

海の見える丘に来た。
そしてさっきまでいた城を見てみる。
城は炎に包まれていた。
空でリザードンやボーマンダ、フライゴンなどのポケモンが飛び回り、火炎放射や破壊光線を城めがけて撃っていた。
恵那はその様子に目を瞑りながらも最後まで立派でいたバロンへ、他の魔術師たちへ、ポケモンたちへ心からの礼と「安らかであれ」という祈りを捧げた。
そして恵那の旅は始まった。


それから数十年後、恵那は愛する人と出会い、子供を授かった。
その子供もまた大きくなり、結婚し、子供を授かる。
その繰り返しが途切れることなく続き、アイリアとミレニアムもまた途切れることなく白夜の血の中へ輪廻を繰り返し
千年経ったその日。
ようやく、2人の血の繋がる少女たちの中へ転生し
輪廻の旅を終えた―。

[back][next]

16/43ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!