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真心文庫
新聞
陽月が捕まったことについてはポケモン新聞に出された。
内容はこんな感じだ。


【呪われ魔女 捕まる!】

<○月×日 呪われ魔女 が再び町に現れた。
魔女は町の現町長のお孫様である次期町長へ暴行を働いたことにより現行犯逮捕された。
10年前の殺人罪で追放された魔女は移動した町々へ不幸を振りまき
町を壊滅状態にまで追い込むという極悪非道なことをしてきた。
これにより魔女にはそれ相応の処分が下された。
処分実行は3日後となっている。>


そんな記事が少し大きめに取り上げられている。
そしてその記事の載った新聞は数箇所の町にも届けられていた。

そんな新聞をある町の1人の少年が見つけた。
少年はそのポケモン新聞を読んでいた父に新聞を借りる。
そしてその記事に書いてあることを読むと目を見開き、その後少し考えた。

「どうしたんだ?そんな難しい顔して。」

少年の父親は少年に訊く。

「父さん・・・こいつがいる町・・・ここからどんくらいある?」

少年は記事を見せながら訊いた。
父親は少し不思議そうにしている。

「どうした急に。この町なら俺のドンカラス使えばすぐだぞ?」

「・・・・そっか。」

少年は家の2階に上がり、荷物をまとめてモンスターボール6つをポケットにしまうと
また1階に下りて来た。

「父さん。」

「ん?何だ?」

「俺・・・・・・・・」

少年は言いかけて少し躊躇った。
父親は少し疑うような目で少年を見た後
少年が背負っている鞄を見て何かを悟った。
そして少年に微笑む。

「何か知らないが、この町に誰かいるんだな。」

少年はそれを聞くと少しドキッとしながらも俯きながら頷いた。
父親は少しため息をつくと座っていた椅子から立ち上がり、少年の元に近づく。
そして微笑みながら言った。

「行って来い。頑張れよ。絶対に諦めんな。」

「父さん・・・・」

「お前には色々辛い思い、させてきたな。今度は自分の道、歩けよ。
俺のことは心配すんな。1人でもやっていける。」

「父さん・・・・ごめんな・・・・1人にさせて・・・」

「いいんだよ。お前はお前の信じた道を進めばいい。
思えば、お前には我慢させっぱなしだったしな。
俺だけお前の歳には好き勝手やってたのにお前だけ縛り付けんの、あんまいい気がしねぇ。
そろそろ俺も子離れが必要なんだ。たがな、よく覚えておけ。
諦めたらそこで終わりだ。だから、お前は一人前になるまで帰って来るな。
どんなことがあったって帰って来るんじゃねぇぞ。
何があったって絶対にだ。
お前が帰ってきていいのは一人前になった時だけだ。
それだけはよく覚えておけ。」

「・・・・ああ。」

父親は少年の頭をポンポンと軽く叩いた。
そして笑う。

「行って来い。」

少年は父親に爽やかな笑顔を向ける。

「行って来る!」

そして父親は少年と共に外へ出て、ボールを取り出し、ドンカラスを出した。
少年はドンカラスの背に乗る。

「気をつけろよ。振り落とされんな。」

「ああ。」

少年は少しだけ父親を振り返って言った。

「俺、絶対に一人前になって帰ってくっから。ここに帰ってくっからな。
それまでくたばるんじゃねぇぞ、父さん。
俺が一人前になって帰ってくるまではな。」

父親は少し目を見開き驚いたがすぐに笑った。

「くたばってたまるかよ」

少年は笑い返した。
それを合図にしたかのようにドンカラスは少年を乗せて空へ飛び立った。

「絶対、一人前になって帰って来いよ。爽。」

父親は少年の後姿に小さく言った。
そして家の中に入って行った。

爽は振り落とされないようにしっかりとドンカラスにしがみつく。

「(あいつが捕まったってことはヤバイな・・・。大丈夫か・・・・?
いや、大丈夫だ。すぐに行くからな。すぐに迎えに行く。
それまで待ってろよ。俺が行くまで待ってろ、絆!)」

爽はドンカラスにさらにスピードを上げさせた。


町までもうすぐだ。

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あきゅろす。
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