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真心文庫
故郷
聖獣学園を離れてからもう1ヶ月が過ぎた。
陽月と絆はやっと、陽月の故郷に辿り着いた。

陽月の故郷は10年前と変わることなく、平穏なのどかな雰囲気を漂わせていた。
その奥では海が広がっている。
そしてその崖近くにある丘の上には他の家よりも立派な、だが、人が住んでる気配のない家が建っていた。

「ここが・・・陽月ちゃんの故郷・・・」

「ああ・・・10年前と変わらない・・・私の生まれ育った町だ。」

陽月は町を見渡しながら寂しそうな表情を見せた。
絆はそんな陽月を見て、微笑んだ。

「大丈夫だよ、きっと。だって、陽月ちゃんは陽月ちゃんだから。」

陽月はそれを聞くと絆に少し微笑んだ。
絆もそれに太陽のような笑顔を返す。

「行こう。」

2人は覚悟を決め、町の門をくぐった。

町に入るとそこにはどの町とも変わらない、明るく働き者のポケモンたちと人間たちがいた。
店へと呼び込む声やポケモンのストリートパフォーマンスの演技、広場ではちょっとしたポケモンバトルなど賑やかだ。

「賑やかな町だね。」

「そのようだ。」

陽月も絆も周りを見渡す。
今のところ誰も陽月に気づいていない。
そのまま丘の上へと向かった。

ただ1つだけ、強く殺気のこもった視線を感じたが。

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