『1−A』の札が掲げられた教室の前で名前は待っていた。
転校なんて、元の世界でも無かったし、初めてだなあ…
3年前のあの一件の後、名前は自分の出生を調べられた。しかし、何の情報も得られず、それどころか
自身の家も戸籍も、そもそもの町すら、出てこなかった。これには流石の家光も頭を抱えたようであった。まだ
幼い名前が嘘を吐いているようにも見えず、疑問を残すばかりであった。
そして、最終的に行き着いた答えが、名前は別の世界から来たのかもしれない、ということだった。こ
んな突拍子もない答えがまかり通ったのも、この世界だからこそだろう。10年後バズーカが存在するくらいだ、
別の世界からやってくることだってある、という、まだ当時9歳だった名前も苦笑いするような答えで
まとまったのである。
「よし、入ってきていいぞー」
担任の先生に呼ばれ、教室内に入る。周りからの様々な視線が名前に向けられる。
「苗字名前です。父の仕事の都合で急遽こちらに引っ越してきました。
いろいろ分からないこともありますが、よろしくお願いします。」
そう言いつつも、名前は目標となる人物に目を向ける。
沢田綱吉――――――
ボンゴレファミリー10代目ボス候補である。
「じゃあ、苗字はそこの席に座ってくれ。」と、名前は促されるまま席に着いた。
昼休憩。
ノートをすぐさま片づけて名前が向かった場所は、屋上である。秋も入りかけ、肌寒くなってきたその
場所に、目標の人物がいた。友人である山本武、獄寺隼人と共に昼食と取っている。名前は微笑みなが
ら声をかけた。
「あの、すみません。」
「へ?」
「あ``?なんだてめーは」
「ご、獄寺君!」
ツナは獄寺を制す。またダイナマイトを出さないかとツナはハラハラする。転校生だよ、とツナは獄寺にいうと、
獄寺は納得した様子で名前をみる。
…そういえば、彼は自己紹介の時寝ていたな。
「ごめんなさい、いきなり声をかけてしまって。
良かったら一緒にお昼ご飯を食べてもいいですか?」
と、名前は手に持っていた弁当を見せる。
「あれ?クラスの奴らは?」
「はは、…声、掛け損なってしまって。」
山本の疑問に、名前は苦笑いで答える。ありゃ、と山本は呆気にとられた。
「そうなんだ、じゃあ一緒に食べよう!
…いいよね?獄寺君?」
「……10代目がそう仰るのなら…」
「…ありがとうございます。では、失礼しますね。」
そう言って名前は腰を下ろした。