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trip
4話

 

『1−A』の札が掲げられた教室の前で名前は待っていた。

 

転校なんて、元の世界でも無かったし、初めてだなあ…

 

3年前のあの一件の後、名前は自分の出生を調べられた。しかし、何の情報も得られず、それどころか

自身の家も戸籍も、そもそもの町すら、出てこなかった。これには流石の家光も頭を抱えたようであった。まだ

幼い名前が嘘を吐いているようにも見えず、疑問を残すばかりであった。

そして、最終的に行き着いた答えが、名前は別の世界から来たのかもしれない、ということだった。こ

んな突拍子もない答えがまかり通ったのも、この世界だからこそだろう。10年後バズーカが存在するくらいだ、

別の世界からやってくることだってある、という、まだ当時9歳だった名前も苦笑いするような答えで

まとまったのである。

 

 

「よし、入ってきていいぞー」

 

担任の先生に呼ばれ、教室内に入る。周りからの様々な視線が名前に向けられる。

 

苗字名前です。父の仕事の都合で急遽こちらに引っ越してきました。

 いろいろ分からないこともありますが、よろしくお願いします。」

 

そう言いつつも、名前は目標となる人物に目を向ける。

沢田綱吉――――――

ボンゴレファミリー10代目ボス候補である。

 

「じゃあ、苗字はそこの席に座ってくれ。」と、名前は促されるまま席に着いた。

 

 

 

 

昼休憩。

ノートをすぐさま片づけて名前が向かった場所は、屋上である。秋も入りかけ、肌寒くなってきたその

場所に、目標の人物がいた。友人である山本武、獄寺隼人と共に昼食と取っている。名前は微笑みなが

ら声をかけた。

 

「あの、すみません。」

 

「へ?」

 

「あ``?なんだてめーは」

 

「ご、獄寺君!」

 

ツナは獄寺を制す。またダイナマイトを出さないかとツナはハラハラする。転校生だよ、とツナは獄寺にいうと、

獄寺は納得した様子で名前をみる。

…そういえば、彼は自己紹介の時寝ていたな。

 

「ごめんなさい、いきなり声をかけてしまって。

 良かったら一緒にお昼ご飯を食べてもいいですか?」

 

と、名前は手に持っていた弁当を見せる。

 

「あれ?クラスの奴らは?」

 

「はは、…声、掛け損なってしまって。」

 

山本の疑問に、名前は苦笑いで答える。ありゃ、と山本は呆気にとられた。

 

「そうなんだ、じゃあ一緒に食べよう!

 …いいよね?獄寺君?」

 

「……10代目がそう仰るのなら…」

 

「…ありがとうございます。では、失礼しますね。」

 

そう言って名前は腰を下ろした。



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