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なくしたくないもの


「だけど、俺は人間なんてどうでもいいと思ってるからな。その考えは変わらんから」

「お前・・・頑固だな」

「何とでも言え」


さっきまでの雰囲気はなんだったんだ。というやり取り。どちらからともなく笑いが零れてきた。


「取り敢えず、今日はちゃんと寝るんだぞ。・・・邪魔しないから」


お母さんのようなセリフを吐いたと思ったら、ニヤつく笑みをして意味深な事を呟いた。
少年は意味が伝わったのか、頬を少し染め、笑いを零した。


「ふふ、ありがとう。じゃあ、今日は大人しく寝るよ。・・・・・・布団があれば」

「なっ!お前」


からかうような笑みを見せて少年は歩いていく。
呆れながらもその後に付いて行こうとした青年だが、数歩歩いたところで振り向いた少年に訝しがりながらもその場に止まった。


「さっきのもちゃんとした理由何だけどね、一番の理由は自然がいっぱいになった綺麗なこの星を見てほしいからなんだ」


"大好きな君に"

できたばかりの風に運ばれた少年の最後の小さな呟きは、しっかりと青年に届いていた。
少年は言ったことに対して恥ずかしいのか、さっさと先を歩いて行ってしまっている。
言われた本人である青年は、突然言われたことに驚きその場に立ち尽くし、先を行く少年の背を呆然と見ていた。



数秒経って、我に帰った青年は呆れた顔。でもどことなく嬉しそうな顔をして空を見上げた。


「確かに綺麗なこの星を見たことはないけど・・・」


また少年の背を見て、








「俺はお前さえいれば後は何もいらないし、どうでもいいんだがな」


青年の声は少年には届かず、急な突風によりかき消された。



そのまま青年は、少年の後ろを付いて行く。

いつの日か、ゆっくりと2人だけで暮らせる日を夢見ながら・・・。



fin...


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あきゅろす。
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