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なくしたくないもの


「──っ!人間なんて、自然を壊して自分達で住める場所を狭めて、挙げ句に人間同士で争いやがる。争ってさらに自然を壊して。・・・自然が大切だって、必要だって分かっていながら壊す。・・・愚かなやつらじゃねぇーか!」


また捲くしたてて言ったせいで肩で息をしている。険しい表情をしながら。

少年は、今度は逃げずに話を聞いていた。
そして、少年は語るように話しだした。


「確かに人間は愚かだよ。・・・でも、その分必死に生きてる。百年足らずの命で何かをしようと頑張ってる。・・・ボクは、その生き方を・・・・・・忘れた。・・・だからかな、手伝いたい。というより、見てみたい。そう思ったから人間が生きていけるように自然を戻す。そしたら人間の行く先を見れるでしょ。・・・・・・何であるのか分からないこの力も、このためにあるようにも感じるし」


静かに言い切った少年は空を見上げていた。

少年の周囲は、何か近付けない雰囲気が流れていた。

「・・・ボクのやることに付いてきてくれる?」


青年のほうを向いた少年の顔は不安に満ちていた。
それに対し青年は荒かった息は整い、険しかった表情は緩んでいた。


「俺は何があってもお前に付いていくと、一生側にいるとあの時に決めた。・・・俺にはお前しかいない・・・からな」

「ボクもだよ、・・・それに、もう1人で生きるのはイヤだよ」

「あぁ。俺もだ」


俯いてしまった少年の頭を青年は優しく撫でた。
和やかで、優しい雰囲気が流れる。



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