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なくしたくないもの


「うん、そうだね。ボクらだけなら普通に生きていけるよね。・・・何千年も2人で生きてきたし」


今まで微笑んでいた少年の顔も、寂しげな顔へと変わった。


十何年としか生きていないように見える2人。しかし、想像もつかない程の計り知れない時を2人は過ごしていたのだ。


「だったら、お前が命を使ってまで自然を戻す必要はないだろ!」


草木を咲かせ、風を生むのには少年の命が代償となっていたのだ。


「命を使うっていったって、少しでも寝れば治るんだから平気だよ」


大袈裟だな。と笑う少年。その答えに青年は少年の肩を掴んで自分の顔を少年の顔に近付ける。

その顔は、見るもの全てが虜になる満面の笑みを浮かべていた。


「お前・・・何日寝てないと思ってんだ」


青年は・・・静かに怒っていた。満面の笑顔で怒っているため、恐さが倍増である。
青年の問い掛けに少年はわざとらしく目を反らし、後ろに下がろうとした。が、肩を掴まれているため逃げられない。
観念したのか、少年は恐る恐る口を開いた。


「え、・・・えーと・・・3日、ぐらい?」


その言葉に


何かが切れる音がした。



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あきゅろす。
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