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なくしたくないもの


大地が荒れ、木は枯れ少なくなっていき、風さえも無くなってきている。



人間は荒れ果てた土地では住めない。分かっていながらも人間は、己の欲のために木を切り、大地を荒らし、水を汚染していく。
世界には人間が住める場所が少なくなっていくというのに。

数百年に及ぶ自然破壊はここ数年、ますます酷くなる一方である。





世界の終わりが刻々と近付いていく・・・



* * *

草木一本生えていない大地が広がる場所に男が2人立っていた。



「この辺でいいか」


そう言うと、見た目少年の男が木の棒・・・もとい、杖を持ち直した。
両手で持ち、先を地面につけ、深呼吸をしてから、


「咲き息吹け」


それだけを言った。たったそれだけなのに言った直後、杖を中心に草木や花が咲き乱れていった。
地平線まで荒れ果てていた大地だったのに、今は緑でいっぱいだ。無かったはずの風も、杖を中心に吹いてきた。



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