朱と緋 2 「朱鳥・・・無理、しなくていいんだ」 「無理なんて・・・」 してない。と、本当に言えるかどうかすら分からない。 俺は、無理をしてるのか。 我慢を、しているのか。 「・・・っ。朱鳥。朱鳥朱鳥あす、か」 「とう・・・さん?」 抱きしめる力が強まったと思ったら、何度も名前をよばれる。 「ごめんな。ごめん・・・ごめん」 返事をしても応えてくれず、ただうわ言のように謝られる。 父さん。・・・もう謝らないでくれ。謝るのは俺のほうなんだから。 結局俺は泣くこともせず父さんの部屋を後にした。 * * * 翌日、俺は父さんと夜のことについて、朝早くから話し合っていた。 「数が多いですけれど、ザコばかりです。・・・しかし、薬を使っていますので注意したほうがよろしいかと」 「どんな」 父さんの側近である葛城さんの話を聞いていて、特に注意する点はないと思っていたが、最後は聞き逃せなかった。 薬か。・・・種類によっては状況が変わるな。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |