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朱と緋


「朱鳥・・・無理、しなくていいんだ」

「無理なんて・・・」


してない。と、本当に言えるかどうかすら分からない。
俺は、無理をしてるのか。
我慢を、しているのか。


「・・・っ。朱鳥。朱鳥朱鳥あす、か」

「とう・・・さん?」


抱きしめる力が強まったと思ったら、何度も名前をよばれる。


「ごめんな。ごめん・・・ごめん」


返事をしても応えてくれず、ただうわ言のように謝られる。

父さん。・・・もう謝らないでくれ。謝るのは俺のほうなんだから。



結局俺は泣くこともせず父さんの部屋を後にした。


* * *


翌日、俺は父さんと夜のことについて、朝早くから話し合っていた。



「数が多いですけれど、ザコばかりです。・・・しかし、薬を使っていますので注意したほうがよろしいかと」

「どんな」


父さんの側近である葛城さんの話を聞いていて、特に注意する点はないと思っていたが、最後は聞き逃せなかった。

薬か。・・・種類によっては状況が変わるな。



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