自分の居場所
保健室
「空矢、大丈夫か?」
「あ、うん。大丈夫」
オレが当たった事により周りは喜んでいて、心配してくれたのは新吾だけ。
分かってる事だが、かなりムカつく。
「本当に大丈夫か?」
「大丈夫。当たった時は痛かったですが、今はなんとも」
「そうか?でも一応保健室に行こ」
「そんな、大丈夫ですから」
「でも、額が赤い。それに眼鏡で何処か傷ついてるかもしれないし」
理由をつけながら、手を引っ張られ体育館を出た。
* * *
「失礼します。先生いますか?」
軽くノックをしてから保健室に入ると誰もいなかった。
「?先生いない」
「でも鍵は開いてたし」
「あー、誰だ?・・・て、お前らか」
2人で話していると、カーテンの奥から白衣を着た人が出て来た。
この人が保険医である棗 明良先生。大人の魅力を感じさせる人気の先生だ。
「あの、あっちは大丈夫なんですか?」
声の大きさを落として、先生が出て来た方を見て新吾が訊ねる。
カーテンで区切られた一角。あそこはベットがあり、カーテンが閉まっているということは・・・。
「・・・僕達お邪魔でしたか?」
「冗談でもやめろ。常連その1だ。寝ているだけだから気にするな」
言うなり席に座った先生の前にオレも座る。
「で、確か昨日は曲がり角で肘鉄。一昨日はイスに仕掛けられたカッターで切って、今日は何だ」
呆れたように聞かれた。
あの新勧からほぼ毎日保健室にオレは来ている。呆れもするか。
「ボールをおもいきり顔面でキャッチしました」
「・・・少し赤くなってるな。冷やすだけで大丈夫だろう。だが、目元が切れてる。眼鏡で傷ついたんだろうな。消毒するぞ」
.
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!