戻れない道 港 * * * 月も傾き始めたころ、港の倉庫の前にはガラの悪い男達がいた。 そんな男達と相対しているのは、暗くても分かるほどの一人の美中年だった。 「いい品物だな」 「当たり前です」 木箱やスーツケースを開ける男達は、中の物を見て悪どい笑みを浮かべている。 「それで代金は・・・」 「あー、忘れてたな」 男達は美中年の言葉を聞くと、木箱やスーツケースの中。果ては、懐に手を伸ばしている。 「これでいいか?」 男達が美中年に拳銃を向けた。 向けられた美中年は、いつ撃たれるかも分からないのに、顔色も変えずに前を向いているだけだ。 「じゃあな」 トリガーにかかっている指に力が込められた。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |